2019 Fiscal Year Research-status Report
1原子スケールの熱流情報に基づく,界面熱輸送状態の根源的解明
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19K14909
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 邦夫 大阪大学, 工学研究科, 助教 (60800852)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エネルギー輸送 / 界面熱抵抗 / 固液界面 / 非平衡分子動力学 / 1原子スケール |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1原子スケールの熱流が巨視的な界面熱輸送状態へ及ぼす影響を明らかにするために,固体結晶表面上に1原子の吸着固体原子が存在する系において非平衡分子動力学法に基づき解析を行った.計算モデルとして,固体表面(吸着原子を含む)上に単原子分子で構成される液体が存在する固液界面の系を採用し,固液界面を通過する熱流が特に吸着原子の影響でどのように変化するか調査を行った. 吸着原子近傍の1原子スケールの熱流の空間分布を求めた結果,平滑面とは異なり,特に吸着原子近傍の1原子スケールの局所空間において特徴的な熱流を検出することができた.吸着原子の液体分子との相互作用(濡れ性の効果に相当)を調整することによって吸着原子近傍の熱流は顕著に変化するが,いずれの条件においても,平滑面と比較して吸着原子が局所的に熱輸送を向上させることが分かった. また,濡れ性のパラメータを変更し,空間平均された巨視的な界面熱コンダクタンスに対して,吸着原子が及ぼす影響を分子動力学法に基づき解析を行った.その結果,吸着原子が存在する場合は巨視的な界面熱コンダクタンスも変化し,下地の固体原子層と吸着原子層の濡れ性の条件によっては,吸着原子が存在する場合に熱コンダクタンスが大きく向上することが分かった.従来の分子動力学を用いた固液界面の熱コンダクタンスの評価はそのほとんどが固体の理想的な結晶面を用いて行われており,表面に吸着原子が存在するような実際の状況に近い表面欠陥の影響が固液界面熱コンダクタンスの理解に重要であることを明らかにした. 今後は系内の圧力や温度勾配を変更しての解析や,吸着原子・液体分子種を変更してのさらなる検討が望まれる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1原子スケールの熱流に関する基礎的な知見を得ることができており,当初の計画通りの実施状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
液体と固体の界面において,固体表面原子の配置や種類,液体分子種,熱力学的条件(温度勾配)の変更等を行うことにより,種々の条件下における,1原子スケールにおける局所熱流の特性を界面領域において解明する.そして,局所熱流の特性が巨視的な界面熱輸送に及ぼす影響を定量的に評価する.
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