2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on droplet motion induced by evaporation of neighboring droplets and related deposition patterns
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19K14910
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 寛 岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (60758481)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 液滴蒸発 / 内部対流 / 温度分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は液滴の蒸発をテーマとしているが,このテーマの過去の研究では孤立した1液滴にのみ注目が集まっていた.しかし,インクジェットプリントなどの工業的応用だけでなく日常生活でも広くみられる液滴は複数が近接している場合が多く,その際の蒸発現象が周囲環境から受ける影響は解明されていない.そこで,液滴を近接して配置した状態における蒸発挙動(接触角や接触半径,蒸発時間など)の観察を行い,接触角の推移は液滴間の距離に依存しないこと,液滴間の距離が近づくほど蒸発完了までに時間を要すること,液滴中心間距離Lと初期液滴直径Dの比L/Dが3.5程度まで離れた場合,おおよそ1滴と同等の蒸発時間になることなどを確認した.また,上方からレーザーシートを照射した実験により,液滴内部流動の可視化を行った.その結果,1滴の場合では固液接触面の中心から液滴頂点を経由して三相界線に至る自然対流由来の流れが支配的であることが確認され,既往の研究と同じ傾向が得られた.無次元数の解析によるとマランゴニ対流が見られてもおかしくないが,既に報告されているように液滴表面の清浄さが十分に保たれていないため見られていないと考えられる.液滴を近接して設置した場合では,液滴近接側の三相界線から液滴頂点を経由して遠方側の三相界線に至る流れが支配的であることが確認された.これは液滴同士が近接することで近接側の蒸発が阻害されたため,液滴内の近接側と遠方側の三相界線で温度差が生じたためと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではより現実の系に近い環境における液滴蒸発の知見を獲得することを目指しており,当初の計画として(i)蒸発挙動の把握と(ii)液滴内部流れの可視化を予定していた.(i)については基礎となる1液滴における蒸発挙動の把握や,2液滴間距離による違いの把握,さらに液滴数が増加した場合の蒸発について検討を行った.また,(ii)については新規導入した粒子画像流速測定法(PIV)による液滴内部流れの可視化により,1滴と複数滴の場合に違いが生じることを明らかにしてきた.加えて,全方位を液滴に囲まれた状態を模擬するための基礎的検討も始めており,その初期段階として液滴近くに固体壁を設けることで,おおよそ2滴が近接しておかれた場合と同様の蒸発挙動および液滴内部流れが見られることを確認している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初から計画していた物質堆積を伴う蒸発について検討する.1滴の場合では三相界線付近に堆積物が生じる“Coffee ring effect”が知られているが,液滴同士が近接することで変化する内部対流により堆積物形状がどのように変化するかを観察し,評価する.また,液滴内部流れが変化する理由について深く考察するため,液滴の温度分布取得に挑戦する.物理的には液滴が近接している領域では他と比較して湿度が高く,さらなる蒸発を抑制すると考えられる.これによって蒸発潜熱が奪われなくなるため,液滴の近接側は遠方側と比較して高温になると考えられる.この現象を確かめるため,熱電対の挿入による温度計測や赤外線カメラを用いた非接触による温度測定を計画している.
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Causes of Carryover |
2020年度は実験で使用する消耗品や実験系組み換えによる部材を購入する予定である.
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Research Products
(1 results)