2019 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造を用いた伝熱面ぬれ性デザインによる気泡微細化沸騰の制御及び促進技術の開発
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19K14912
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
海野 徳幸 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 講師 (70721356)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 冷却技術 / 沸騰冷却 / サブクールプール沸騰 / 気泡微細化沸騰 / ぬれ性 / めっき / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、通常の沸騰冷却限界を超える高発熱負荷の冷却を可能とする気泡微細化沸騰(MEB)の発生メカニズムについて、伝熱面表面ぬれ性との関連性を明らかにすることを目的としている。 2019年度は金属めっきを行った無酸素銅伝熱面を用いてMEB発生特性を重点的に調べた。従来のMEB研究は無酸素銅伝熱面を使って行われていたが、銅は酸化しやすく実験中にぬれ性が変化しやすいという問題があった。そこで、表面保護及びぬれ性を変化させるためクロムめっきを施した無酸素銅伝熱面でサブクールプール沸騰試験を行った。通常のクロムめっきを施した場合、銅に対して水のぬれ性が劣化し、銅面の限界熱流束よりも低い熱流束にて膜沸騰に遷移してしまうことは既に明らかにしていた。そこで本研究では、通称黒クロムめっきと呼ばれる表面微細構造を持つクロムめっき膜を新たに採用した。クロムの高い耐熱性・耐久性を活かしつつ表面微細構造がMEB発生に対してどのように寄与するかを調べた。 その結果、従来無酸素銅伝熱面を使ってMEBが発生したサブクール度と同じ条件にてMEBの発生が確認された。MEB発生時の熱流束も無酸素銅の場合と同等であった。表面ぬれ性を接触角を用いて調べたところ、黒クロムめっきに対する水のぬれ性はクロムめっきより良かった。そして、MEBを伴う沸騰試験後においても無酸素銅伝熱面から黒クロムめっき膜の剥がれは見られなかった。通常のクロムめっきでは発生させることが難しかったMEBを黒クロムめっきにより実現することができた。 以上のことから、MEBの発生促進には表面構造の形成による伝熱面ぬれ性デザインが有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、これまでMEBが確認できなかったクロムめっきに対して、表面ナノ構造を有する黒クロムめっきを新規に無酸素銅伝熱面上に適用したことでMEBの発現を確認することができた。表面ナノ構造がMEB発生に与える重要性を実験的に明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、サブクール条件を変えながら伝熱面上に形成した微細構造によるぬれ性デザイン面がMEB発生に対してどのような影響を及ぼすのかを調べる実験を行っていく予定である。
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