2020 Fiscal Year Research-status Report
Driver state estimation based on body movement and its application to the safe driving support
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19K14924
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
秋月 拓磨 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40632922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 行動特徴 / 認知負荷 / 手首加速度 / 周波数スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,運転中のドライバの注意力や覚醒度の低下を早期に,精度よく検知することを目的とし,従来の心拍などの生理指標に加えて,ドライバの身体の動きに着目したドライバ状態推定手法を提案する.その基礎検証として,本研究課題では,ドライバの注意力低下が生理指標および四肢の動きに及ぼす影響を調査する.またその変化を検出するための基本アルゴリズムを検討する.このことによって,ドライバの注意力低下を早期に,精度よく検知するための定量指標の確立をめざす.
前年度までに設計した実験デザインをもとに,本年度は,身体挙動から運転中の注意力低下を検出するための指標値とその算出アルゴリズムを検討した.20 代男子大学生・計7 名を対象に,注意力低下を再現した状況下での運転行動の計測実験を行なった.この結果より,認知負荷のかかる条件下で手首部の挙動が有意に振動的になる傾向を確認した.すなわち,手首部の挙動からも注意力低下の兆候を捉えられる可能性を示した.また,この結果をもとに手首部の加速度を周波数分析し,時間・周波数域内でのスペクトルの分散値から認知負荷の大きさを評価する指標を提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は前年度までに設計した実験デザインをもとに,(1)注意力低下が身体挙動に及ぼす影響の検討,および(2)運転行動データの拡充,の大きく2項目を実施した.
(1)については,注意力低下が身体挙動に及ぼす影響を調査する目的で,運転中のドライバに認知的な負荷課題(Nバック課題)を課し,課題のない区間と課題を課した区間とで,手首部の挙動(加速度)を比較した.20 代男子大学生・計7 名を対象とした実験により,認知負荷のかかる条件下で手首部の挙動が有意に振動的になる傾向を確認した.すなわち,手首部の挙動からも注意力低下の兆候を捉えられる可能性を示した.また,この結果をもとに手首部の加速度を周波数分析し,時間・周波数域内でのスペクトルの分散値から認知負荷の大きさを評価する指標を提案した.従来手法のステアリングエントロピー法と比較しても,十分に高い精度で認知負荷の程度を検知できることを明らかにした.本研究成果は,国際会議IEEE SMC 2020にてフルペーパーに採択され,発表を行なった.
(2)については,覚醒度低下が身体挙動に及ぼす影響を調査する目的で,前年度に引き続き,単調運転時のドライバ身体挙動の計測実験を行なった.NHTSAのガイドライン等を基にして20-50代の4つの年齢層で,男女比を可能な限り均等な構成となるよう参加者を募った.Covid-19の影響のために実験実施が困難な状況となっているが,感染症流行防止対策を行いながら,細心の注意のもとに20代から50代までの計14名分の実験データを確保した.次年度に本データの解析を行う. 以上の内容から,本課題の調査は当初計画に対しておおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は,最終年度として(1)これまでに収集した検証用データの解析,ならびに(2)ドライバ状態推定手法の構築を行う.
(1)については,2020年度までに実施した被験者実験データをもとに,ドライバの身体挙動のデータを状態ラベル(眠気あり/なし,漫然あり/なし)で群分けして分析することで,注意力・覚醒度低下が四肢の挙動に及ぼす影響を調査する.また,注意力・覚醒度低下と関係のある行動をしらべ,検知対象とすべき不安全行動を明らかにする.
(2)については,(1)と2020年度までの成果を用いて,手首部の挙動の変化から注意力低下の兆候となる行動特徴を段階的に検知するアルゴリズムの構築を行う.また,単一の慣性センサにより,車両振動の影響を受ける中で,どの程度正確に注意力低下の兆候となる行動特徴を検知できるかを検討する.
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Research Products
(8 results)