2019 Fiscal Year Research-status Report
高い形状自由度を持つ積層型誘電エラストマーアクチュエータの研究開発
Project/Area Number |
19K14942
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
新竹 純 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (10821746)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ソフトロボティクス / アクチュエータ / 誘電エラストマー / 誘電エラストマーアクチュエータ / マイクロフルイディクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で提案するモールディング法では、誘電エラストマーアクチュエータの誘電体となるシリコーンエラストマーを、電極形状を持つ内部パーツと共にモールドに流し込み硬化させる。内部パーツを有機溶剤によって溶解し、その結果としてできる空洞に液体金属を注入することによって、積層型の誘電エラストマーアクチュエータが完成する。 本研究では、数ある材料の中から、モールディング法に適したシリコーンエラストマー、内部パーツ、有機溶剤、および液体金属の組み合わせを明らかにした。また、これらの材料によってアクチュエータを作る際の、製作条件を明らかにした。具体的には、シリコーンエラストマーの硬化時間と温度、内部パーツの3Dプリントパラメータ、有機溶剤による溶解時間と温度、および液体金属の注入時における圧力を明らかにした。 同定された製作材料と条件によって、電極数の異なる積層型誘電エラストマーアクチュエータを試作し、それらの駆動試験を行った。その結果、いずれのアクチュエータも変位や力を出力できていることが分かり、本提案手法が積層型誘電エラストマーアクチュエータの製作方法として有効であることを実証した。 本手法を様々な形状のアクチュエータに適用するための設計指針を得るため、すでに得られている実験結果を基にした解析モデルの作成を開始した。また、本手法のソフトロボティクスへの有効性を実証することを目的として、ロボットの開発を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の達成事項は(1)モールディング法によって単純な形のアクチュエータを試作し性能向上に関する特性を明らかにする、(2)アクチュエータが3次元的に自由度の高い形状をもつとき示す特性を明らかにする、(3)実機の開発しソフトロボットへの有効性を明らかにする、である。 達成事項(1)について、モールディング法に適した材料の組み合わせと製作条件を明らかにし、それによって、電極数の異なる積層型誘電エラストマーアクチュエータを試作した。それらのアクチュエータの駆動試験を行い、出力される変位と力といった性能特性を明らかにすることができた。また、それによって本提案手法が積層型誘電エラストマーアクチュエータの製作方法として有効であることを実証した。 達成事項(2)について、3次元的に自由度の高い形状のアクチュエータの設計に必要な、解析モデルの作成を開始した。このモデルはすでに得られている実験結果によってその妥当性の検証が可能である。 達成事項(3)について、同定された材料の組み合わせと製作条件に基づいて、魚型のソフトロボットの開発を開始した。 全体の進捗として、(1)は達成済みであり、それを以って達成事項(2)および(3)への取り組みへと順調に推移できていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
前節でも触れた通り、今後の研究活動の焦点は達成事項(2)および(3)に当てられる。 達成事項(2)、アクチュエータが3次元的に自由度の高い形状をもつとき示す特性を明らかにする、については、解析モデルの妥当性の検証をまず行い、それを基に自由度の高い形状の積層型誘電エラストマーアクチュエータの設計と製作を行う。材料や製作条件は達成事項(1)ですでに同定されたものと同様である。アクチュエータの形状は、当初の計画通りに球形や鞍型である。製作したアクチュエータを用いて実験を行い、出力する変位や力といった性能特性を明らかにする。ここで用いる実験環境は、達成事項(1)ですでに構築されたものを用いる。 達成事項(3)、実機の開発しソフトロボットへの有効性を明らかにする、については、当初の計画通り魚型ロボットの開発を以って課題達成を行う。ロボットの基本構造はすでに構想されているため、それに沿って寸法を決定する。そして、達成事項(1)ですでに同定された材料や製作条件に基づいてロボットを作製し、様々な実験条件における遊泳速度を測定する。ここでの実験条件は、ロボットに印加する電圧と周波数のことである。遊泳速度は体長で正規化することによって、他研究との性能比較を可能にする。また、周波数と尾ひれの振幅を用いることによって、ストローハル数という無次元数を得ることができ、これによって実際の魚類との性能比較ができる。これら先述した比較パラメータによって、本提案手法によるソフトロボットへの有効性を明らかにする。
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