2019 Fiscal Year Research-status Report
装着型ロボットの同調制御に基づく運動教示による腰痛予防アシスト制御と装着部の開発
Project/Area Number |
19K14945
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
水上 憲明 信州大学, 繊維学部, 研究員 (50735397)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 装着型ロボット / 腰痛予防 / 持上動作アシスト / サーボモータ / 同調制御法 / 非外骨格型構造 / 筋電位(EMG) |
Outline of Annual Research Achievements |
同調制御法に基づく装着型ロボットの持上アシスト制御法を検討し,プログラム開発を行った.ロボットを装着して持上動作を行い各関節の角度センサから関節角度軌道を計測し,それに基づく持上動作の角度制御のために関節角度軌道生成を行った.同調制御法では,ロボットの関節角度の方が装着者の関節角度より大きくなる先行動作になることで,装着者とロボットの関節回転方向と同じ方向に相互作用トルクが駆動トルクとして作用するので,各関節の伸展動作が補助され負荷を軽減する先行動作となる制御にした.制御開始で同調ゲインは高レベルとすることでロボットは立位状態に同調して停止,装着者が持上動作を開始して各関節の屈曲動作を行い,最大屈曲角度をロボットが検知すると,同調ゲインは低レベルに変化し,ロボット主体の関節伸展動作制御になることで持上動作をアシストするアルゴリズムとした. アシスト有りと無しの比較を行うことによりアシスト効果を筋電位(EMG)計測から検証した.腰痛症の要因は,脊柱起立筋に対する大きな負担であるので,計測筋を左右の脊柱起立筋とし,筋電位計測結果からiEMG(積分筋電図)を算出した.アシスト無しに対して,アシスト有りでは筋使用量が約12.5% 低減したことから持上動作アシストによる筋使用量を抑制する効果が示唆された. ロボットの構造部に関しては,骨盤部と腰椎を固定し,持上アシストを行うと同時に腰痛予防になる構造を検討してコントローラBOXの試作を行った.コントローラBOXと腰ベルト・体幹ベルトを用いた腹部腰部の固定は,持上動作時の上体の姿勢を支え,腰痛の原因となる脊柱起立筋への過度な負担を軽減し,腰痛予防が可能と考えた.コントローラは背部に沿う縦型形状で試作し,体幹ベルトを設置,ベルトフックにより体の前,腹上部で固定して左右に引き締めて体にフィットさせる構成とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロボット関節の角度センサを用いたSquat法による持上動作の各関節軌道の生成を行い,同調制御法に基づく4関節持上アシスト制御法を検討しプログラム開発を行った.そして,アシスト有りとアシスト無しの比較実験によりアシスト有りの筋使用量低減を確認し,筋使用量の抑制効果が示唆された. 脊柱起立筋の負担を軽減するための機能を検討し,持上アシスト専用コントローラBOXの試作まで行った.
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Strategy for Future Research Activity |
・持上動作制御アルゴリズムの改善:持上動作時の屈曲最大値を検知すると即座に各関節を伸展方向にアシストする動作に移行するため装着者の持上げタイミングが合わない場合があることが分かった.この課題を解決するために屈曲状態を保持する機能を追加して持上時の関節伸展動作開始のタイミングが装着者に合うように改善する.同時に負担の少ない持上動作時の関節軌道の十分な解析と評価を行う. ・装着部の試作と評価:装着部の一次試作を行い,コントローラBOXと装着部の脊柱起立筋の負担軽減に関する効果を検証する.そして一次試作のコントローラBOXと装着部の改善を検討し二次試作を行う. ・アシスト効果検証実験:複数の被験者に対する筋電位計測を行い,脊柱起立筋の筋使用量の低減効果が得られるか検証していく.また,脚の伸筋に対する筋電位計測を行い,腰痛予防の効果の他に脚の筋使用量低減の効果を確認していく.
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Causes of Carryover |
装着部の一次試作とアシスト効果検証実験の延期のためである.次年度で装着部の一次試作とアシスト効果検証実験を行い,試作費用と実験における人件費と謝金などの費用として使用する.
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