2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of Control Method for Skeletal Muscle Module
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19K14946
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 大 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (20713374)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋組織 / アクチュエータ / マイクロロボット / モジュール構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、体外で骨格筋を培養しアクチュエータとして用いると共に、生体内の筋紡錘に相当するマイクロセンサを作製し、骨格筋アクチュエータと統合したモジュール構造を作製することを目指している。本年度は研究の基盤となる骨格筋アクチュエータの作製と共に、骨格筋の収縮量を計測するためのセンサのプロトタイプを作製した。 骨格筋アクチュエータについては、マウス筋芽細胞C2C12と生体外マトリックス(ECM)としてマトリゲルを用いた。まず固化前のECM内に細胞を分散させ、生体適合性材料ポリジメチルシロキサン(PDMS)によって作製したモールド内に細胞を懸濁させたECMを流し込む。この状態で細胞培養を行うことにより、ECM内で細胞を培養する。さらに、多核化用培養液を用いて筋芽細胞の融合を促し、筋管細胞へと分化させることで、骨格筋アクチュエータへと成長させる。これまでに、C2C12とマトリゲルを用いた骨格筋アクチュエータの作製に成功し、電気刺激による骨格筋の収縮を確認した。また、細胞の蛍光染色を行い、筋管細胞の配向を調査した。その結果、骨格筋アクチュエータの厚みが厚すぎると骨格筋内部が壊死し、配向が上手く揃っていなかったが、厚みを薄くすると壊死を防ぎ、配向を揃えられる傾向があることが見出された。 また、センサについても伸縮性の高い材料を用い、筋組織と似た機械的特性を有するセンサについて最初のプロトタイプの作製を行なった。センサとしての特性評価、及び骨格筋アクチュエータとの統合が今後の課題となってくる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初の予定通り骨格筋アクチュエータについて作製すると共に、骨格筋の収縮量を計測するためのセンサについても試作を行なった。筋骨格アクチュエータについては、多核化用培養液による筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導によって、電気刺激に反応する骨格筋を生体外にて作製することに成功した。しかしながら、現時点では収縮量が小さいという点が課題として挙げられる。この点について、蛍光染色による筋管細胞の配向を確認し、骨格筋アクチュエータの厚みと配向に関して知見を得ることができた。また、より配向を揃えるために、細胞培養中における機械的刺激(張力)をより印加する方法についても検討を行うことができた。 センサについては最初の試作を完成させ、筋組織と同等の伸縮性やセンシング性能について評価を行える段階まで進めることができた。センサの特性を評価し、骨格筋アクチュエータと統合して使用可能にしていくことが今後必要となってくる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度に得られた骨格筋アクチュエータ及びセンサの成果を基に、研究を発展させ骨格筋アクチュエータとセンサを統合したモジュール構造の作製を目指す。そのために、まずは骨格筋アクチュエータの収縮量・収縮率の向上を図ると共に、センサ特性の解析・評価を行い、性能向上のための改良を行なっていく必要がある。骨格筋アクチュエータの収縮量増加については、細胞培養時の機械的刺激、電気的刺激による筋管細胞の配向性の改善を試みると共に、骨格筋の厚みについても最適化を目指す。また、センサについては作製した最初のプロトタイプの評価実験を基に、材料や形状の改善を行う。また、骨格筋アクチュエータとの統合を目指した骨格筋アクチュエータモジュールの形状設計についても行なっていく。 最終的には、骨格筋とセンサを統合した骨格筋アクチュエータモジュールを作製し、センサからの出力を基に骨格筋の収縮量をリアルタイムで計測する。これにより、フィードバック制御による精密な駆動が可能な骨格筋アクチュエータを実現し、マイクロロボットへと応用することを目指していく。
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Causes of Carryover |
今年度はセンサ作製に関して、最初のプロトタイプの作製に必要な材料費が当初予想よりも少なく、また、次年度において骨格筋作製に必要となる試薬、培養関係消耗品費用がより必要となる可能性があるため、次年度使用額が生じた。
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