2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of ROS/RNS generation model in discharge electrolysis for new plasma application
Project/Area Number |
19K14956
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 一弘 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (60746973)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | OHラジカル / テレフタル酸 / パルス放電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,アルゴンガス雰囲気下でテレフタル酸水溶液に正極性水上パルス放電を照射したときの副生成物を液体クロマトグラフィー質量分析法を用いて詳細に分析した。また,特定した副生成物をもとに,OHラジカルの生成レートを推定した。さらに,水上パルス放電照射における液中の流速をシュリーレン法により測定した。 テレフタル酸水溶液への放電照射においては,前年度特定したヒドロキシテレフタル酸,2,5-ジヒドロキシテレフタル酸,p-安息香酸および3,4-ジヒドロキシ安息香酸に加え,2,3-ジヒドロキシテレフタル酸も生成されることが明らかとなった。また,水上パルス放電実験の0次元モデルおよび1次元モデルを構築し,液中の反応レートを解析することで各物質の濃度を計算して実測値にフィッティングすることで,OHの生成レートを推定した。本研究の推定値は,従来のテレフタル酸のみを考慮した方法およびテレフタル酸とヒドロキシテレフタル酸のみを考慮した方法による推定値と比べて,数倍から10倍程度高い結果となった。 液中の流速については,液体の導電率およびパルス放電の極性を変化させて調査した。同一の導電率の液体に対しては,正極性パルス放電を照射よりも負極性パルス放電を照射することで液中の流速ならびに流動の範囲が大きくなることがわかった。また,同一極性のパルス放電を異なる導電率の液体に照射した際には,導電率が低いほど,水上の放電進展が大きくなり,液中の流速および流動の範囲がおおきくなることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テレフタル酸を用いたOHラジカルの生成レートの推定において,従来は考慮されていなかった副生成物について,新たに特定し,それらを考慮した0次元および1次元モデルにおける OH生成レートの推定が可能となった。また,ROS/RNSの液中反応の速度定数の実測値の整備については,測定できた範囲内における温度変化が数度程度であるため,速度定数への影響は小さいものと考えられる。以上のことから,おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
水上パルス放電実験モデルの多次元化により,OH生成レートの推定を目指す。また,本研究で構築したモデルを他の放電プラズマを利用したモデルにも適用できるかを確認する。ROS/RNSの液中反応の速度定数の実測値の整備については,測定できたバルク領域においては,数度程度の変化しかみられなかったため,反応レートへの影響は小さいものと考えられる。ただし,気液界面における局所領域では,温度の影響を考慮する必要もあるため,ROS/RNSの液中反応の速度定数の整備を検討する。
|
Causes of Carryover |
2020年9月に成果報告として参加予定であったInternational Conference on Gas Discharges and their Applications (GD2020, Germany)が新型コロナウイルス感染拡大のため2022年9月開催予定に延期となった。また,2020年9月および2021年3月に参加した応用物理学会学術講演会がオンライン開催となり,旅費が生じなくなった。これらが次年度使用額として生じた。これについては,次年度の物品費等として使用する。
|