2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14965
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
今給黎 明大 九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (30710264)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | かご形誘導電動機 / 不平衡電圧補償 / 電圧不平衡率 / オープン巻線 / インバータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,電力系統の不平衡電圧の新しい対策として,誘導電動機内部に備えた不平衡電圧補償回路で不平衡電圧を補償することで,外部の補償回路を用いることなく運転継続可能な不平衡電圧補償機能付き誘導電動機の検討を行っている。不平衡電圧補償機能付き誘導電動機は,固定子巻線の一方が電力系統に接続され,もう一方が不平衡電圧補償回路と接続されている。今年度は,定格出力15kWの不平衡電圧補償機能付き誘導電動機について,シミュレーションを行い,以下の点を明らかにした。 ・三相交流電圧不平衡率が20%程度以下であれば,不平衡電圧補償機能付き誘導電動機(15kW)はモータ電流をバランスさせることができ,脈動トルクも低減できるため運転の継続が期待できる。 ・線間電圧を1相だけ70%定格電圧まで低下させた場合(電圧不平衡率:10%程度),不平衡電圧補償なしの場合,脈動トルクは定格トルクの20%程度で脈動する,一方,不平衡電圧補償機能付き誘導電動機の場合,脈動トルクを定格トルクの4%程度に抑えることができる。 ・不平衡電圧補償回路は,電力系統の理想三相線間電圧と実際の三相線間電圧(不平衡時)の差分電圧のみを補償する。このため,不平衡電圧補償回路で取り扱う容量は誘導電動機の定格出力の20%程度に抑えられる(三相交流電圧不平衡率10%まで補償することを想定した場合)。この結果は,不平衡電圧補償回路を誘導電動機内部に実装できる可能性を示している。 また,750Wの小形誘導電動機を改造して,不平衡電圧補償機能付き誘導電動機を試作した。なお,不平衡電圧補償回路の基本的な動作の確認のため,不平衡電圧補償回路は誘導電動機外部に設置して実験を行った。実験結果より,シミュレーション同様に,改造・試作した不平衡電圧補償機能付き誘導電動機(750W)をモータ電流をバランスさせて駆動することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では,今年度は不平衡電圧補償機能付き誘導電動機のシミュレーションによる検討のみであったが,実際には,不平衡電圧補償機能付き誘導電動機を改造・試作し,実験による検討を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定として,現状ではモータ電流のみしか評価できていないため,脈動トルクを測定できるトルクセンサを設置し,不平衡電圧補償機能付き誘導電動機と通常の誘導電動機の脈動トルクを実験で比較・評価する予定である。また,実験においてはモータ電流に不平衡電圧補償回路のキャパシタの充放電電流が重畳しており,シミュレーション結果よりも不平衡電圧の補償精度が悪化する課題があった。この課題について,対策を検討して改善する予定である。
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Causes of Carryover |
残りの予算で必要な物品を購入できなかったため。
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