2019 Fiscal Year Research-status Report
The discovery and elucidation of locked false turn on phenomenon
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19K14976
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
七森 公碩 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (30824057)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 誤点弧ロック現象 / 誤点弧 / GaN / 近接配線 |
Outline of Annual Research Achievements |
GaNデバイスは従来まで幅広く使用されてきたSiデバイスに比べて高周波化・高効率化が期待される一方で誤点弧と呼ばれる現象を引き起こす。本研究ではこの誤点弧と類似した誤点弧ロック現象についての発生原理の解明と防止に取り組むことにより,多くの電力変換器への応用し,小型かつ高効率な電力変換器の実現を目的とするものである。この誤点弧ロック現象の解析と防止のため3つの段階を考えており,「1. 発生原因の解明」,「2. 防止方法」,「3. 数式モデルの提案」である。現在までに本研究テーマに関しての学会発表を2件行っている。「1. 発生原因の解明」に関してはGaNデバイスとそれを駆動するためのゲートドライブ回路内のソースインダクタにあることを突き止め,パワーエレクトロニクス学会第231回 定例研究会にて「GaN HEMTの誤点弧ロック現象に関する研究」を発表している。その後,GaNデバイスなどの小型デバイスに実装されるケルビンソース端子を用いてソースインダクタンスを低減した場合においても回路基板の配線の近接によって誤点弧ロック現象が発生することを確認し,令和2年度電気学会全国大会の「近接配線によるゲート電圧保持現象の検証」で報告した。この報告ではPCB基板を設計・外注し実機波形でも一部誤点弧ロック現象も確認している。またソースインダクタンスを低減することにより,一部誤点弧ロック現象を防止することは実現できている。しかしながら,回路内の寄生成分などを用いた数式モデルを構築しなければ,誤点弧ロック現象を防止可能と断定する理論判別式が示せないため,今後はゲートドライブ回路および主回路インダクタンスとGaNデバイスの寄生成分を考慮したゲート・ソース間電圧の数式モデルを構築していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述した3つの項目のうち現段階では「1. 発生原因の解明」,「2. 防止方法」を確認できているものの,一部の条件でのみの確認である。また,残す「3.数式モデルの構築」は非常に多くの時間と検証が必要であるため,今後の予期しない部分を考慮し,「やや遅れている」と判断する。数式モデルの実機との整合性がとることができれば,全体の進度としてはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究実績における副産物として,近接配線におけるインダクタンス増加および誤点弧ロック現象を確認した。そのため当初予定していた数式モデルよりも複雑化する可能性がある。よって本年度が最終年度となるが,本年度のほぼ全てを「3. 数式モデルの構築」に充てる。 数式モデルの構築にはまず,実機回路の寄生成分の抽出が必要である。GaNデバイスの寄生容量の抽出は本学の研究設備では不可能であるため,他大学の協力を仰ぐ。もし測定器などの使用が困難な場合においてもデータシートより簡易的な値を使用することが可能である。回路内寄生インダクタンスに関しては本学で測定が可能である。よって,まずは寄生インダクタンス測定環境を構築する。この測定環境はあくまでも近接配線による影響を考慮していない。従って,まずは近接配線による影響を無視可能なPCBの再設計が必要である。2件目の研究発表での実績をもとに近接配線の影響を可能な限り除去した回路を作成し,その回路の寄生成分を抽出する。その後,実機を等価回路に落とし込んだ数式モデルに適応し,実機との整合性を取る。整合性が取れた場合,「1. 発生原因の解明」と「2. 防止方法」に立ち返り数式モデルを用いて,誤点弧ロック現象防止条件の提案を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主たる理由としては学会への旅費補助があったことと,学会中止に伴う差額である。 翌年度分としては学会参加または消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)