2019 Fiscal Year Research-status Report
電力融通のための負荷推定機能を有したスマートインバータの開発
Project/Area Number |
19K14977
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
南 政孝 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (50707867)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 系統連系インバータ / 負荷推定 / 擬似ランダム信号 / 誘導性負荷 / 負荷切り替え |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、住宅用太陽光発電システムと搭載した需要家を研究対象とし、需要家と電力系統の双方からの電力融通を可能とする系統連系インバータの開発を目指している。需要家側の負荷変動による電圧変動や周波数変動を抑制するためには、「実時間における負荷の推定」と「負荷の状態に応じた電力調整」が必要となる。そのため、本研究では需要家からの電力融通に向け, 負荷推定機能を有する系統連系インバータを提案している。本年度は推定信号に擬似ランダム信号を使用し、住宅の様々な負荷を想定し、誘導性負荷や負荷切り換わり時の推定を検討した。 本年度の研究実績としては、誘導性負荷の推定と負荷を切り替えた際の推定が挙げられる。さらに、推定した負荷を評価するのは重要であるので、最小二乗法を用いて複数の推定点から推定値を導出し、系統連系インバータによる負荷推定の精度を評価した。その結果、真値と近しい値の負荷推定が達成できていることを明らかにした。 平成31年電気学会産業応用部門大会 YPC(ヤングエンジニアポスターコンペティション)にて、誘導性負荷の推定に関する研究発表を実施した。さらに電気学会 産業応用部門 半導体電力変換/家電・民生/自動車 合同研究会(SPC/HCA/VT)にて、負荷を切り替えた際の推定に関する研究発表を実施した。さらにこれらの成果をまとめ、査読付原著論文(電気学会論文誌C)に「負荷切り換えに対応可能な系統連系インバータによる擬似ランダム信号を用いた負荷推定」という題目で投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インバータ駆動には、系統連系、電流と電圧の目標値追従など数多くの制御が必要である。現在、目標値を追従させるデッドビート制御はアナログ回路を用いて実装している。 本研究では「実時間における負荷の推定」を第一段階の最終的な目的としているため、インバータ駆動に必要な制御の制御器への実装が必要となる。また、今後は複数の住宅を想定した系統連系系統システムや系統連系インバータの三相化による大容量化も検討しており、複数の制御回路が必要となる。現在のアナログ回路では、回路製作および調整に時間がかかってしまうため、それらの点を踏まえても、制御回路の制御器への実装は必要不可欠である。 制御器として、現在はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を使用しているが、使用するプログラミング言語が非常に難解であるため、制御器のプログラミング開発に時間がかかっている。そのため、当該年度における本研究課題の進捗状況がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、系統連系インバータの回路構成と制御構成をまとめ、推定信号として擬似ランダム信号を用いた系統連系インバータによる負荷推定の実機検証が完了している。本研究の最終的な目標は「実時間における負荷の推定」と「負荷の状態に応じた電力調整」である。本研究では系統連系インバータの出力電流電圧から負荷を推定している。しかしながら、現在は出力電流電圧をデジタルオシロスコープで測定し、そのデータを用いて演算を実施しており、これらのプロセスのオンライン化が課題である。現在はインバータを駆動する際の系統連系や電流電圧の目標値追従などの制御はアナログ回路を用いて行なっているが、推定プロセスのオンライン化に伴い、インバータ駆動の制御プロセスの制御器への実装が必要となる。そのため、制御器としてFPGAを使用し、オンラインでの負荷推定に関して実機検証する。 また、これまでは太陽光発電の模擬として、直流安定化電圧源を利用してきたが、太陽光発電の電流電圧特性を模擬する電源(プログラマブル直流電源)を用いてより、一層の現実的な実機モデルを想定した負荷推定を実機検証する。 さらに、複数の住宅との系統連系を想定した負荷推定や、系統連系インバータを三相化による大容量化をさせた場合の負荷推定を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、三月に予定していた実験および研究打ち合わせ、さらには参加予定であった学会の中止が相次ぎ、翌年度に変更せざるを得なかったため。
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