2019 Fiscal Year Research-status Report
Generation of Nanosecond Pulsed Microdischarge and its Application for Hydrogen Production
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19K14978
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Research Institution | Sasebo National College of Technology |
Principal Investigator |
猪原 武士 佐世保工業高等専門学校, 電気電子工学科, 講師 (30634050)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パルスパワー / 水素生成 / ナノ秒 / マイクロ放電 / マイクロ流路 / 気液混相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
持続可能で低環境負荷な水素製造技術の確立が急務である.本研究は,放電プラズマを用いた水素生成エネルギーの更なる効率化のために,ナノ秒パルスマイクロ放電(nsPMD)デバイスを開発し,これを水素製造技術へ応用することを目的とする.今回生成するnsPMDは,極短時間,かつ,局所空間に生成されるため,その放電機構および化学反応過程は未だ体系的な理解には至っておらず,これについても詳細に調べる. 2019年度は,1)nsPMDの放電機構を解明するために,精密な電圧電流計測および高時空間分解発光分光計測の準備を行い,2)効率的な水素製造システム確立のために,nsPMDデバイスの開発を行った. 1)マイクロギャップ内気液混相流場にnsPMDを生成した際の放電電流を計測し,放電に寄与した電荷量を調べた.その結果,印加電圧の増加に伴い電荷量は増加したが,ある電圧以上においては飽和傾向することを確認した.また,顕微観測から気液混相流場におけるnsPMDは気相領域に形成されることが確認された.さらに,高時空分解発光分光計測を行うためのシステムを構築した.詳細な計測については,次年度に実施する. 2)3Dプリンタを用いてマイクロ流路および放電電極を有する放電プラズマ反応デバイスを作製した.気液混相流を形成するために,多入力ポートを備えている.入力媒質の流量をシリンジポンプでそれぞれ制御することで任意の気液混相流の形成に成功した.また,このデバイスを用いて水素生成量を測定した結果,これまでの水素生成エネルギー効率より10倍程度向上したことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究計画は,nsPMDの放電機構を解明するために,精密な電圧電流計測および高時空間分解発光分光計測の準備を行い,効率的な水素製造システム確立のために,nsPMDデバイスの開発を行うことであった.上述の通り,電圧電流計測によって放電条件が水素生成量に与える影響については概ね調べることができた.また,デバイスの開発も順調に進んでいる. 以上のことから,研究は「おおむね順調に進展している」と評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究計画は,1)高時空間分解発光分光計測によるnsPMD中における分光スペクトル計測,および2)変圧器を用いない全固体素子で構成されたパルス電源を開発することである. 高時空間分解発光分光計測によるnsPMD観測では,新たに準備した顕微観測システムとの時間同期を測り,その詳細な計測を行う予定である.また,現在はパルス電源として商用のものを用いている.マイクロ流路を用いたデバイスの場合,低い電圧でも放電プラズマを駆動することが可能となる.そのため,パルス形成におけるエネルギー損失を減らすため,変圧器を用いないナノ秒パルス電源の開発を行う.
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Causes of Carryover |
消耗品の価格変動および購入個数の減少において,差額分が生じた.
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Research Products
(3 results)