2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14984
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
野崎 隆之 山口大学, 大学院創成科学研究科, 講師 (70707497)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 噴水符号 / 消失訂正符号 / 高速復号アルゴリズム / シフト演算 / ランダムアクセスプロトコル / 分散ストレージシステム / 符号理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,シフト演算を利用した(ZD)噴水符号の成果を発展させることで低遅延・高信頼な噴水符号を構成するとともに,他の情報システムにおいてもシフト演算が有用であることを検証することである.本年度においては,(1) ZD噴水符号に対する効率の良い復号アルゴリズムを提案し,(2) ZD噴水符号を改良することでより高性能な噴水符号を構成し,(3) シフト演算を利用したランダムアクセスプロトコルを提案するとともにその性能を明らかにし,(4) 分散ストレージシステムに適したシフト演算を利用したブロック符号の構成法とその性能を明らかにした.それぞれの具体的な内容は以下のとおりである. (1) ZD噴水符号は高い復号性能と引き換えに復号時間が長くなっていた.この研究では,反復復号アルゴリズムにおける復号順序を適切に入れ替えることによって高速な復号を実現した.この研究の成果によって,低遅延なZD噴水符号システムを構成することができるようになった. (2) ZD噴水符号はある種の連接符号であるとみなすことができる.元々のZD噴水符号では内符号のみにシフト演算を利用していた.本研究では,外符号にもシフト演算を適用し,その性能を調査した.その結果,既存のZD噴水符号よりも高性能な符号を構成することに成功した.この研究の成果によって,より高信頼なZD噴水符号システムを構成することができるようになった. (3) ランダムアクセス(RA)プロトコルは無線通信の統計的多重化で利用されるプロトコルである.本研究では,RAプロトコルに対してシフト演算を適用し,その性能を調査した.その結果,既存のRAプロトコルよりも高スループットな方式を得るに至った. (4) 分散ストレージシステムの符号化において,シフト操作を多重に利用した符号化を適用し,オーバーヘッドの小さいシステムの構成に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通りに研究が進んでいるため
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究によって,研究目的のひとつである「シフト演算を利用した(ZD)噴水符号の成果を発展させることで低遅延・高信頼な噴水符号を構成する」ことについては,概ね目標が達成された.したがって,もうひとつの研究目的である「他の情報システムにおいてもシフト演算が有用であることを検証すること」を中心に研究を進めていく.具体的には,Invertible Bloom Lookup Table (IBLT) に対するシフトの適用と性能解析・最適化について検討していく.加えて,高性能なZD噴水符号の構成法に関する研究成果をまとめて,論文誌に投稿する.
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Causes of Carryover |
数値実験用計算機の故障を見込んで新規の計算機の購入費用を計上していたが,当該年度中に計算機が故障しなかったため次年度使用額が生じた.次年度予算において,数値実験用計算機購入のための費用の一部に充てる予定である.
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Research Products
(6 results)