2019 Fiscal Year Research-status Report
縁端部を考慮したメタ表面反射板を用いたLOS-MIMOの小型構成に関する研究
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19K14986
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久世 竜司 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 助教 (40808929)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メタ表面 / LOS-MIMO / Meta-surface |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,次世代移動通信で見据えなければならない通信環境として見通し環境を想定し,小型で高い通信容量を実現できるアンテナを開発することを目的として,位相を制御した反射波を用いた疑似的なマルチパスをアンテナ近傍に設置された反射器によって生成する手法のアンテナを提案する.ただし,提案構成に用いられる反射器は,面に関しては設計通りの動作をするが,特に反射器縁端部は設計通りの位相制御ができないという技術課題がある. そこで,今年度は,提案構成反射器縁端部の影響を調べ,縁端部の構造が通信容量向上に寄与できることを明らかにした.具体的には,まず,反射波が比較的複雑にならないよう,縁端部は通常の金属板とし,縁端部側から反射器内側にかけて位相勾配を設けることで疑似的なマルチパスを生成する手法を提案し,通信容量向上への寄与を確認した.これまで光学近似による理論値と有限要素法で求めた提案構造のシミュレーション値とであった差が約1bit/s/Hz改善された.次に,縁端部の構造が,アンテナ周辺の位相分布へ及ぼす影響を明らかにし,縁端部の構造と近傍界との定性的な関係を明らかにする足掛かりを得た.また,実際に試作した提案アンテナの評価を行い,近距離において設計通りの性能を示すことを確認した. 実験的な評価に踏み込んだことで,電磁界シミュレーション結果の裏付けが取れ、目的達成に向けて前進した.反射板を利用した通信容量向上技術は5Gでも利用見込みの高い技術の一つであり,反射板の工夫による電磁界制御技術は,これまでの通信網構築に対して新たな設計自由度与える取り組みであり,レーダ技術にも応用可能である等,利用価値の高い技術となることが期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在,論文執筆中であるが,過程において縁端部設計プロセスの一般化が十分でないという課題を得た. 縁端部の構造による影響について,光学近似による設計段階では、複雑な電磁界応答を含まずに基準の設計値を得ていることに対し,実際の構造ではパラメータスタディを頼りに追い込みを行い基準値から異なる点で動作を達成しているが,このことが上記の課題の原因である。 こちらに関して,より明確な構造の裏付けとなる理論の確立に取り組んでいるが,当初予定していない検討項目が増えたために遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べた新規検討項目を十分に達成することは,申請時の研究計画を進める上でも重要である.新規検討項目の達成状況は3割ほどで,進捗速度としてはやや遅れている. 具体的には,縁端部と中央部の領域をインピーダンス行列として捉え,相互結合を加味することで設計精度の向上を図るものである. この手法を実現できれば,その応用範囲は広がるため,やや遅れているものの,まずはこの課題の達成を目指す. その後,申請時の研究計画に戻って遂行する.
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Causes of Carryover |
投稿予定であった国際会議が新型コロナウィルスの影響により延期となったことにより、支払いが生じなかったことが主な理由である。 延期であることから次年度中に投稿・支払い予定である。
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Research Products
(2 results)