2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Fundamental Limits of Lossy Compression Based on Distortion Ball Aiming for Practical Code Construction
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19K14989
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
齋藤 翔太 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (60822145)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歪みを許した情報源符号化 / 歪み球 / 情報理論 / データ圧縮 / シャノン理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、もとのデータと復元後のデータの間の違い(歪み)を許容した情報源符号化問題を扱う。歪みが一定値以内であるような要素の集合(歪み球)という概念を用いた理論アプローチを発展させることで、実用的符号設計の指針となる理論限界を明らかにすることが大きな目標である。この研究目標に対する2020年度の研究実績は以下の通りである。 1)歪みを許容した情報源符号化において、二つの種類の歪み球を定義することができる。歪みを超過する確率を一定値以下にしたもとで、平均符号語長の最小値の理論限界は、従来これらの歪み球に基づいた情報量を用いることで特徴付けられていた。しかしながら、これら二つの歪み球に基づいた情報量の間の関係式は知られていなかった。本研究では、これらの情報量の間の関係式を明らかにし、得られた成果を国際学会(2020 International Symposium on Information Theory and Its Applications)にて発表した。 2)歪みを許容した情報源符号化において、符号語長のキュムラント母関数という評価基準が知られている。これは、平均符号語長や最大符号語長を一般化した概念である。以前、歪みを超過する確率を一定値以下にしたもとでの符号語長のキュムラント母関数の最小値を導出する結果を得ていたが、この証明の中に誤りがあることが判明した。そこで、本年度は、その誤りを修正したうえで、論文誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、歪みを超過する確率を一定値以下にしたもとでの符号語長のキュムラント母関数の最小値を導出する結果を得ていたが、この証明の中に誤りがあることが判明した。その修正作業等に時間を要したため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、以前の証明における誤りを修正することに力を注ぐ。そのうえで、情報源出力データの長さが有限であるなどの実用的な仮定をおき、圧縮率などの理論限界に関する閉じた式を解明する。また、具体的な情報源に対して、具体的に計算可能な理論限界式を導出することも試みる。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウイルスのため、学会出張費用がかからなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
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Research Products
(10 results)