2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Fundamental Limits of Lossy Compression Based on Distortion Ball Aiming for Practical Code Construction
Project/Area Number |
19K14989
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
齋藤 翔太 群馬大学, 情報学部, 准教授 (60822145)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 歪み球 / 情報理論 / シャノン理論 / データ圧縮 / 歪みを許した情報源符号化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実績は以下の通りである。 1)歪みを許容した情報源符号化において、符号語長のキュムラント母関数という評価基準があり、これは平均符号語長や最大符号語長を一般化した 概念である。歪みを超過する確率を一定値以下にしたもとでの符号語長のキュムラント母関数の最小値を導出する結果を得ていたが、証明中に一部不備(反例が存在する)ことが明らかになった。その誤りを修正したうえで、論文誌に投稿し、現在は査読中である。 2)情報公開の際の有用性と情報漏洩量のトレードオフ関係を理論的に評価することが、従来から情報理論では行われている。本研究では、一定値以下の歪み(有用性の評価基準)を許したもとでの情報漏洩量に関する理論評価を行った。本研究課題のポイントである「歪み球」という概念を用いて理論的な評価式を導出した。研究成果を論文としてまとめ、IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences に掲載した。 3)歪みを許容した情報源符号化の特別な場合、すなわち、もとのデータと復元後のデータの間の違い(歪み)がゼロであるような情報源符号化の研究も行った。このような情報源符号化において、代表的な符号のひとつにベイズ符号がある。情報源系列の統計的性質が区間毎に異なるような情報源系列に対して効率的なベイズ符号のアルゴリズムを構築した。この結果は、2021 IEEE Information Theory Workshopにて発表した。また、このような効率的なベイズ符号のアルゴリズム構築の際に重要となる事前分布の性質についてまとめ、研究成果を論文誌Entropyに掲載した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の1)に記載したように、現在実行している研究の一部に不備が見つかり、その修正を行っている。一方で、「研究実績の概要」の2)に記載したように、「歪み球」という概念を用いることで、情報公開の際の有用性と情報漏洩量のトレードオフ関係を理論的に解析できた。この結果は、当初予定していた計画以上の結果である。以上の研究の進捗を総合的に判断して、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
歪みを許容した情報源符号化における符号語長のキュムラント母関数の研究については、査読のコメントが判明次第、その対応を行い、論文掲載を目指す。また、情報公開の際の有用性と情報漏洩量のトレードオフ関係を理論的に評価する研究について、研究の拡張なども検討する。
|
Causes of Carryover |
多くの学会がオンライン開催となったため、当初予定していた旅費の費用がかからなかったため。今年度は現地開催の学会が増えているため、出張旅費として使用する予定である。
|