2020 Fiscal Year Research-status Report
計測現場で瞬時に周波数特性を調整できる高速高精度な微分推定フィルタの可変構造
Project/Area Number |
19K14990
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
吉田 嵩 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 助教 (60778447)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微分推定 / 計測用フィルタ / ノイズ除去 / 可変フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
計測信号の微分推定の精度向上は,様々な分野のボトムアップにつながる.そこでこれまでに計測信号を帯域制限して信号対雑音比を向上させつつ高精度に微分を推定するディジタルフィルタ(以下,ディジタル微分器)が提案されてきた.しかしながら,従来設計法で耐ノイズ性能を高めるためには,高いフィルタ次数を必要とし,フィルタ回路規模・処理遅延の増加を招くという問題がある.更に,従来の微分推定フィルタは固定係数であり,計測環境のノイズ等に合わせて瞬時に特性を変化させることができない.そこで本研究計画では,従来よりも耐ノイズ性能の高いディジタル微分器の設計とその可変構造の実現を目的とする. 具体的には,(1) 従来提案されているディジタル微分器の可変構造化 (2) 少ない次数で従来よりも高い耐ノイズ性能を実現するディジタル微分器の設計とその可変構造化 に取り組む. 2020年度は,少ない次数で従来よりも高い耐ノイズ性能を実現する低域通過ディジタル微分器の設計について研究し,成果を発表した.非再帰構造の微分器は,遮断特性を急峻にし,耐ノイズ性をあげるためにはフィルタ次数を大きくする他ないが,フィルタ次数の増加は回路規模・処理遅延の増大を招く.それに対して,一般に再帰構造のディジタルフィルタは急峻な遮断特性を実現できることが知られている.そこで,再帰構造による通過域平たん阻止域等リプル特性を有する微分器の設計法を開発した.閉じた式による再帰構造の最大平たん微分器の設計法に関しては次年度の課題とする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
閉じた式による再帰構造の最大平たん微分器の設計法に関しては次年度の課題としたが,それに準ずる理論を提案できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
【2021年度】 ・非再帰構造の通過域平たん阻止域等リプル微分器の可変構造化:最大平たん微分器の可変構造を拡張し,通過域平たん阻止域等リプル微分器に対して通過域の中心周波数,帯域幅をパラメータとしてリアルタイムに調整できる微分器の可変構造について研究する.この拡張により急峻な遮断特性を実現でき,微分器の耐ノイズ性能向上が期待できる.設計した微分器はDSP,GPU,FPGAに実装し,性能を評価する. ・閉じた式による再帰構造の最大平たん微分器の設計法の開発:継続課題であり,2020年度の研究成果を基に設計法を提案する. 【2022年度】再帰構造を持つ最大平たん微分器の可変構造化:これまでの研究計画を基に,再帰構造の最大平たん微分器に対しても可変構造化を検討する.設計 した微分器はDSP,GPU,FPGAに実装し,性能を評価する
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,旅費として計上した助成金はほぼ手付かずとなった.これに関しては,2021年度以降に使用予定である.
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