2022 Fiscal Year Research-status Report
計測現場で瞬時に周波数特性を調整できる高速高精度な微分推定フィルタの可変構造
Project/Area Number |
19K14990
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College of Industrial Technology |
Principal Investigator |
吉田 嵩 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (60778447)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微分推定 / 計測用フィルタ / ノイズ除去 / 可変フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
計測信号の微分推定の精度向上は,様々な分野のボトムアップにつながる.そこでこれまでに計測信号を帯域制限して信号対雑音比を向上させつつ高精度に微分を推定するディジタルフィルタ(以下,ディジタル微分器)が提案されてきた.しかしながら,従来設計法で耐ノイズ性能を高めるためには,高いフィルタ次数を必要とし,フィルタ回路規模・処理遅延の増加を招くという問題がある.更に,従来の微分推定フィルタは固定係数であり,計測環境のノイズ等に合わせて瞬時に特性を変化させることができない.そこで本研究計画では,従来よりも耐ノイズ性能の高いディジタル微分器の設計とその可変構造の実現を目的とする.具体的には,(1) 従来提案されているディジタル微分器の可変構造化 (2) 少ない次数で従来よりも高い耐ノイズ性能を実現するディジタル微分器の設計とその可変構造化 に取り組む.2022年度は,再帰構造による最大平たん微分器の設計法について分母・分子ともに閉じた形の伝達関数について検討を行った.また,通過域平たん阻止域等リプル特性を有する非再帰型ディジタル微分器について,可変構造の検討を行った.しかしながらいずれの研究課題も,有効な手法の提案には至らなかった.そこで,次年度は本研究計画の主目的である計測現場で特性を調整するための可変構造の実現を第一に考え,設計する微分器を準平たん特性,準等リプル特性に緩和したうえで設計し,可変構造の提案を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
再帰構造の最大平たん微分器の設計法は提案できたものの閉じた伝達関数の導出には至っておらず,可変構造化について検討が遅れている.また,通過域平たん阻止域等リプル特性を有する非再帰型ディジタル微分器の可変構造についても従来と同程度の精度に留まっているため.
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Strategy for Future Research Activity |
・非再帰構造の通過域平たん阻止域等リプル微分器の可変構造化:最大平たん微分器の可変構造を拡張し,通過域平たん阻止域等リプル微分器に対して通過域の中心周波数,帯域幅をパラメータとしてリアルタイムに調整できる微分器の可変構造について研究する.この拡張により急峻な遮断特性を実現でき,微分器の耐ノイズ性能向上が期待できる.設計した微分器はDSP,GPU,FPGAに実装し,性能を評価する. ・閉じた式による再帰構造の最大平たん微分器の設計法の開発:継続課題であり,2021年度の研究成果を基に設計法を提案する.
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Causes of Carryover |
可変構造の検討が遅れており,ハードウェアへの実装・評価が未実施だったため.また,COVID19の影響で国際会議がオンライン開催となり,旅費がかからなかったため.
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