2020 Fiscal Year Research-status Report
痛風の原因となる尿酸ナトリウム結晶の磁場と光による新規検出法の開発
Project/Area Number |
19K14994
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武内 裕香 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (90758765)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 痛風 / 診断 / 磁場 / 磁場配向 / 反磁性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は痛風の原因物質である尿酸ナトリウム結晶が磁場配向した際に光強度が変化する性質を利用して,体内の結晶の存在を体外から簡便に評価する方法を模索している。そのための課題のひとつに,微弱光の検出への対応が挙げられる。例えば結晶が肘や足首のような深い関節に存在する場合,光強度の低下は避けられない。さらに,結晶の量が少ない場合,検出方法は高感度でなければならない。そこで,結晶の磁気配向と偏光特性を利用して結晶の光学応答性について検討を行った。結果として,偏光子を用いないシステムの時,磁場を印加すると,反射光強度は減少した。磁場がオフに切り換えられると,光強度は徐々に増加し,磁場の印加前に記録されたレベルにほぼ回復した。反射光強度の最大変化は約1.6倍であった。一方,偏光システムを用いて磁場を印加した時,反射光強度は減少し,偏光子を45度回転させると,光の強さは磁場の印加前に記録されたものよりも大きなレベルに増加した。磁場がオフされると,光強度は実験の開始時に記録されたレベルまで徐々に減少した。偏光システムを使用した場合の光強度の最大変化は約2.3倍であり,偏光子がない光学システムで得られた結果と比較して検出感度が向上した。さらに,光量を1/100にしても検出感度は保持されることを明らかにした。このシステムは,体内の深い場所で結晶の存在を確認するための,非侵襲的な技術を提供することが示唆される。 さらに,それが高感度検出のために新しい光学デバイスにおいて潜在的可能性を有する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではシステム内に偏光子を組み込むことで,尿酸ナトリウム結晶の光応答性を高感度に検出することを目指した。その結果,偏光システムを利用することで,通常光の場合と比較して検出感度が改善することを明らかにした。以上のことから,おおむね実験計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかにした実験データと最適条件下をもとに,体内に存在する尿酸ナトリウム結晶の検出を想定し,各種パラメータを変化させて評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により光検出器の納品に予想よりも時間を要した。そのため付属する設計の一部を次年度に購入することとした。
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