2019 Fiscal Year Research-status Report
光ファイバ中の誘導ブリルアン散乱を用いた温度と歪の分離・分布センシングの機能向上
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19K14999
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大川 洋平 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), ポストドクトラル研究員 (90835737)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 誘導ブリルアン散乱 / 光ファイバセンサ / グレーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
誘導ブリルアン散乱に伴って生じる動的な音響グレーティング(Brillouin dynamic grating, BDG)は、汎用のFBGとは異なり光で高速に書き換えができるという特徴から、新しい信号処理や計測技術への応用が期待されている。偏波保持ファイバ中に生成されたBDGの反射スペクトルは、温度変化に対して敏感に応答するため、温度と歪みを分離した分布型センシングに応用できる。本研究では、コヒーレンス制御により偏波保持ファイバ上にBDGを局在化させることで温度と歪みの分離・分布型センシングを可能にするBDG-BOCDA法において、これまで問題となっていた空間分解能劣化の解決に取り組んだ。まず、数値計算を通じて空間分解能の劣化要因を解析し、既に実験的に効果が認められていた光源強度変調法による空間分解能の改善効果を確認した。解析結果から光によって生成される音響波パワーの位置分布が重要であることが明らかになった。そこで、より効果的な新しい強度変調波形を考案し、実験的に効果を実証した。また、BDGのダイナミクスについての理論的な考察を通じて、音響波干渉を通じて誘導ブリルアン散乱をコヒーレントに制御する手法を新たに考案し、実証実験を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標通り、BDG反射スペクトルの分布計測における光源強度変調法の効果を解析し、より空間分解能に優れる手法を提案・実証することが出来た。これまでの研究では、BOCDA法における理論空間分解能に対し、BDGの反射スペクトル計測の空間分解能は10倍程度悪いとされてきたが、提案手法により理論空間と同等レベルにまで改善した。また、BDGの理論的な考察を通じて、誘導ブリルアン散乱を音響波干渉を通じて制御する新たな手法を実証することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
1cm級の空間分解能によって温度と歪みを分離した分布計測のデモンストレーションを行う予定である。また、これまでの検証により、BDGの局在化が進むに連れて反射スペクトルの広がりが無視できなくなることがわかっている。これは本質的な制限であり、問題解決には全く新しい手法が必要と考えられる。また、空間分解能と測定レンジの比が大きい高機能計測においては、偏波保持ファイバ伝搬時の偏波間遅延の問題が顕在化すると考えられる。これらの問題についてもより詳細な検討を行う予定である。
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Research Products
(6 results)