2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロコア光ファイバ水素センサの長寿命化に関する実験的研究
Project/Area Number |
19K15001
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
細木 藍 国立遺伝学研究所, 情報研究系, 特任研究員 (30748835)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヘテロコア / 光ファイバ水素センサ / 長寿命化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、無機化合物の水素感応物質である酸化タングステン(WO3)が水素吸蔵合金特有の相転移を持たないことに着目し、長期的に運用可能な光ファイバ水素センサを構築することを目的としている。WO3ナノ粒子(NP)と白金(Pt)NPを組み合わせて固定化したヘテロコア光ファイバ水素センサの水素還元反応後の経時変化に伴う応答性能を明らかにし、本センサの有用性を実証する。 最終年度は、WO3NP(粒径: 10- 20 nm)とPtNP(粒径: 4nm)によるヘテロコア光ファイバ水素センサが、水素還元反応後の経時変化によって、応答性能の劣化が抑制可能であるかを検証した。作製したセンサを、ある一定の水素濃度で還元反応させた後、室温で約3か月間保存した場合の、経時変化に伴うセンサの応答性能を明らかにした。センサ作製時の応答時間は約130秒(90%応答)とやや遅い応答性能ではあったが、3か月後に計測したセンサの応答時間は約120秒(90%応答)であり、応答速度の劣化は確認されなかった。このことから、WO3NPを用いることで、センサ性能の劣化は抑制されることが確認された。一方で、本センサは水素に対する応答速度に課題が残った。そこで、WO3NP上に固定化するPtNP分散溶液の濃度や分散液への浸漬時間を変えた場合の、応答速度への影響を調べた。結果として、応答速度を大幅に改善する要因を見つけることはできなかった。水素解離能を有する貴金属触媒のPtNPの粒径をより大きいものにするなどの対策を取ることで、応答速度の改善を検討している。 総括として、応答速度の課題は残るものの、長期的な運用において水素還元反応後でも応答性能が劣化しなかったことから、当初の目的を達成できたと考える。
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Research Products
(2 results)