2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K15009
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
矢野 雄一郎 国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所電磁波標準研究センター, 研究員 (80781765)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | チップスケール原子時計 / CPT共鳴 / 位相変調 |
Outline of Annual Research Achievements |
携帯電話などの小型端末に搭載できるチップスケール原子時計に際して、磁気シールドを軽装化することを目的として、磁場に鈍感な時計遷移と磁場に敏感な遷移(ゼーマンサブレベル)の同時観測する2位相変調法に関する研究開発を実施した。この研究開発では、アルカリ原子が有するΛ型3準位で生じるCoherent Population Trapping(以下、CPT)に対し、基底準位間の遷移周波数を検出するために2つの異なる変調周波数で位相変調を行った場合の共鳴スペクトル特性の解析及び実験を行った。位相変調法では従来の周波数変調によるCPT共鳴取得と異なり、より高い変調周波数を利用できることが特徴であり、より広い帯域を利用できることから2つの周波数の同時計測が可能であると考えられる。CPT共鳴の時間応答解析には、密度行列に基づいた解析を実施した。密度行列解析にはガラーキンスペクトル法を利用して計算時間を短縮させ効率的かつ高精度な数値計算を行った。解析結果からは、異なる2つの周波数を適切に設定すること、また、それら変調により得られた同期検波信号を適切に重みをつけて処理することで、2つの遷移周波数の同時計測ができる可能性を示した。さらに、提案法について、セシウム原子およびセシウムD1線の面発光半導体レーザを用いたCPT共鳴の実験を行った。その結果、解析結果と実験結果は定性的に一致することを確認し、提案法の実現性を示した。
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