2019 Fiscal Year Research-status Report
Realization of high-performance monolithic phase transistors and their logic applications
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19K15026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 真人 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (00748717)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 相転移材料 / 二次元材料 / トランジスタ / 二酸化バナジウム / 遷移金属ダイカルコゲナイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、次世代の低消費電力トランジスタとして期待されている相転移トランジスタを二次元材料と相転移材料を用いてモノリシック形状で作製し、その高性能化、および論理回路応用を目指すものである。初年度である2019年度は、二次元半導体である遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)をチャネル、室温近傍で急峻な抵抗変化を伴う相転移を示す二酸化バナジウム(VO2)をソース・ドレイン電極とするトランジスタを作製し、その電極-チャネル間のコンタクト特性を詳細に調べた。その結果、VO2の仕事関数から予測される結果に反して、二硫化モリブデン(MoS2)をチャネルとするトランジスタにおいてN型動作、一方二セレン化タングステン(WSe2)トランジスタにおいては両極動作することが分かった。これらの実験結果は、VO2とTMDCとの界面においては金属とTMDCとの界面と同様に、VO2の仕事関数に関わらずフェルミ準位がTMDCのバンドギャップ内にピンニングされることを意味している。フェルミ準位がバンド内にピンニングされるとショットキー障壁が形成され、その結果コンタクト抵抗が増大し移動度やオン電流は低減する。したがって、今回得られた知見はVO2を電極、TMDCをチャネルとするトランジスタにおいて高性能動作を実現するためには、ドーピングにより界面でのショットキー障壁を効果的に低減させたり、VO2とTMDCとの間に別の材料を挟みフェルミ準位ピンニングをはずすなどのコンタクトエンジニアリングが必要なことを示唆する重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、本研究目標達成に向けた重要な指針となるTMDCとVO2との界面特性を明らかにしたため、順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において、TMDCチャネルとVO2電極とのショットキー障壁が相転移トランジスタの高性能化のボトルネックとなっていることを明らかにしたため、最終年度である2020年度は、その知見に基づき界面でのショットキー障壁の低減に基づくトランジスタの高性能化を目指す。具体的には、VO2電極とTMDCチャネルとの間にフェルミ準位を自在に動かせる半金属グラフェンを挟みこむことで、界面間のフェルミ準位ピンニングをはずすことを試みる。これによって相転移トランジスタの高性能化が実現できれば、次は相転移トランジスタを用いた論理回路の設計と演算の実証を行う。
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Causes of Carryover |
初年度は、当初購入を予定してたKeysight社製波形発生器を予算不足で購入しなかったため繰越金が発生した。次年度は、繰越金と交付金を合わせて波形発生器を購入する予定である。
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