2019 Fiscal Year Research-status Report
Electrical Characterization of Single-walled Carbon Nanotubes Fabricated from Carbon Nanoring/Linear Molecule Complexes.
Project/Area Number |
19K15031
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
東城 友都 静岡理工科大学, 理工学部, 講師 (30736385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 螺旋度 / 環状分子 / エチレングリコール / シリコン基板 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,シリコン基板表面上に直鎖状分子を修飾し,そこに単層カーボンナノチューブ(SWNT)の基本骨格となる環状分子を導入させ,環状分子同士を熱融合させることで,特定の螺旋度を有するSWNTの物理合成に関する研究である。 今年度は,アルゴン雰囲気グローブボックス内で,長さの異なるエチレングリコール(EG)をシリコン基板表面上に修飾させ,そこに環状分子を導入・熱融合させた。 EGを修飾させる際に,スピンコートにより液膜を均一化させ,シリコン基板に対して垂直方向から紫外線レーザーを照射させることで,垂直方向にEGを光配向させた。原子間力顕微鏡像による構造解析から,EG修飾後のシリコン基板には,EG修飾に伴うステップ構造が確認された。EG修飾させたシリコン基板を真空局所加熱炉に導入し,環状分子の気相堆積および熱融合を行うことで,繊維状分子が得られた。顕微鏡ラマン分光分析から,炭素欠陥構造に起因するDバンド(1330 cm-1付近)および炭素六角網面に由来するGバンド(1580 cm-1付近)が観測された。また,透過型電子顕微鏡像観察およびこの高速フーリエ変換像解析から,円筒状構造が確認されたが,アモルファス構造の存在も確認された。このことから,環状分子の熱融合過程において,EGも熱分解されることが示唆された。一方,環状分子の熱融合後,シリコン基板上から試料を回収する際,希硝酸中にて超音波印加を行い,超遠心分離および蒸留水洗浄を繰り返し行うことで,アモルファス構造をある程度除去できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に用いた環状分子およびEGは,大気中で酸化されやすい材料であるため,大気暴露させずに,全ての合成を不活性ガス下で完結させる必要があった。特注グローブボックスの納入により,シリコン基板表面へのEGの均一修飾,環状分子の導入・熱融合のいずれの過程において,大気暴露させることなく,当初の研究計画通り,円筒状構造を合成できた。 また,EGの代わりにジホルミルビフェニル等のπ電子系分子を用い,予めアミノ基をシリコン基板表面上に修飾させない場合は,分子配向性が低いことを確認している。現在,シリコン基板上にアミノ基を修飾した後,アゾメチン結合を利用し,前記のπ電子系分子の修飾を行なっている。フーリエ変換赤外分光分析から,シリコン基板表面上へのアミノ基の修飾が確認されている。ここまでは,当初の研究計画通りであり,EGを用いた場合と同様の手順で,種々の構造解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り,EG分子杭から得られた試料のフォトルミネッセンス分光分析,および微少量3極式電気化学セルを用いた電圧掃引(サイクリックボルタンメトリー)試験により,電気的性質を光学的,電気化学的に明らかにする。 また,前述のπ電子系分子を分子杭として,環状分子の導入・熱融合を行い,構造解析を進めると共に,電気的性質の評価を行う。
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