2019 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導-CMOSハイブリッドシステムに向けた量子渦支援型超伝導トランジスタの創出
Project/Area Number |
19K15043
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐野 京佑 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (10803372)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 超伝導 / 超伝導ナノデバイス / 単一磁束量子回路 / CMOS / ハイブリッドシステム / モノリシック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、超伝導-CMOSハイブリッドシステムに向けた量子渦支援型超伝導ナノ構造デバイスの創出を目的として実施された。主流の超伝導論理回路におけるジョセフソン素子の出力抵抗、出力電圧はせいぜい数ohm、数mV程度であり、CMOS回路の駆動は困難である。サブVの出力電圧を達成可能なジョセフソン素子ベースの増幅器も存在するが、面積、消費電力の点で高集積システムへの応用には向かない。本研究では、両素子間のインターフェースとして、数ミクロンの素子サイズにてkohmオーダの高出力抵抗及びサブVの高出力電圧を得られる超伝導ナノ構造デバイスに着目した。これまでの研究にて超伝導ナノ構造デバイスによるMOSデバイスの駆動実証には成功している。一方で、ジョセフソン素子から得られる微弱な出力エネルギーに対して本素子が広帯域性を示しつつサブVの高出力電圧を得られるかは明らかではない。本研究では、超伝導超薄膜細線を走行する量子渦が超伝導ナノ構造デバイスの超伝導-常伝導転移を促進させていると考え、本効果の積極的導入により、ジョセフソン素子から得られる微小エネルギーに感度のある広帯域増幅素子の具現化を図っている。 量子渦の効果を顕著化させるためにはコヒーレンス長程度の薄さに超伝導細線を超薄膜化させる必要があるが、同時に超伝導細線の臨界電流値が大きく抑制されるため、現段階では、超薄膜化とCMOS回路を駆動可能なサブVの出力電圧の両立には至っておらず、膜質及び形状の最適化が課題として残さている。一方で、今回、帯域制限要員となるインダクタンスを最小化するジョセフソン素子-超伝導ナノ構造デバイス集積化プロセスの開発及び数値解析に基づく両素子間信号伝送実証回路の設計・作製を行い、ジョセフソン素子からの微小信号による超伝導ナノ構造デバイスの常伝導転移とサブVの高出力電圧を実験的に観測することに成功した。
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Research Products
(4 results)