2019 Fiscal Year Research-status Report
Creation of high strength concrete secondary products by low temperature autoclave curing
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19K15063
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 晋 日本大学, 生産工学部, 講師 (60582468)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートクレーブ養生 / 遠心成型 / シリカフューム / メチルセルロース / 材料分離 / 圧縮強度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,地中杭等の高強度コンクリート二次製品の製造に用いられているオートクレーブ養生の養生温度の低温化することによって,環境負荷低減を可能とする新しい養生方法の確立を目的とした研究である.2019年度は,これを実用化するにあたり,本技術には必須条件となるシリカフュームの添加によって生じるコンクリートの材料分離に着目した検討を行った. 実験方法は,まず配合は実製造を考慮したW/C=29.2%とし,シリカフューム添加率はセメント重量比5%の1水準で細骨材置換で添加した。シリカフューム混入に伴う材料分離抑制を目的として,水溶性のメチルセルロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を使用した.これの添加は,セメント重量比で外割り添加とした。これら添加量の違いによる遠心力締固め性状や圧縮強度により材料分離性の評価を行った. 本年度得られた研究成果は,以下の通りである. (1)材料分離抑制を目的としたメチルセルロースを添加した結果,添加率が0.035%の場合が最も締固め性状が良く,材料分離の抑制効果が認められた.なお,これらを添加しなかった場合は,材料分離が明らかに認められた. (2)メチルセルロースの添加量が0.030%以下の場合は,材料分離によって圧縮強度は低下した.これに対し,メチルセルロースの添加量が多い場合は,コンクリートの成形が困難となり,ジャンカが発生し,強度は低下した.本実験の範囲内においては,0.035%の添加率が最高強度となった. (3)本研究で得られた成果を考慮すれば,添加率が0.030%~0.040%の範囲の場合のより詳細な添加率の検討が必要であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題を進めるにあたり,以下の点で遅れが生じた. (1)遠心成形機の使用と型枠制限 遠心成形機が設置されて以降,本装置使用に関わる安全確保を最優先とし,コンクリートの打設方法から型枠脱型方法まで,数回の講習会を実施したため,本格的な実験活動に入るまで時間を要した.また,コンクリート練混ぜ後,型枠に打設し遠心成型を実施するが,一度に遠心成形可能な供試体数は2体のため,検討に時間を要した. (2)メチルセルロースの使用 本研究課題の核となる,シリカフュームの添加によって生じるコンクリートの材料分離抑制としてメチルセルロースを用いたが,極少量でその効果が得られる一方で,使用範囲が限定され0.01%単位の添加量で検討を行ったため,大幅に時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の成果では,メチルセルロースの添加率が0.030%~0.040%の範囲の場合で,シリカフューム添加による遠心成形コンクリートの材料分離が抑制できることを確認した.しかしながら,メチルセルロースは極少量でその効果を発揮するため,添加率のより詳細な検討が必要である.またシリカフュームの添加量は,セメント重量比で5%の1水準での検討に留まったため,これまでのモルタルによる研究成果を考慮すれば,10%の添加量の場合も検討が必要と考えている. 2020年度は,これを明らかにした上で,実工場の製造工程を考慮した,最適な前置き養生温度・時間の検討を含め,2019年度に実施したメチルセルロースにより材料分離抑制を行った供試体を用いてオートクレーブ養生を実施し,オートクレーブ養生後の圧縮強度による評価を行う予定である.
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