2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Mechanism of Chloride Ion Supply for Marine Concrete Structures
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19K15067
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
田中 豊 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 研究員 (00792706)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 塩害 / 海洋構造物 / 維持管理 / 桟橋 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、海洋鉄筋コンクリート構造物の維持管理の高度化および点検の効率化を図るために、桟橋上部工を対象として、塩害による劣化が進行しやすい箇所およびその条件を明らかにすることである。本研究では桟橋上部工下面における塩化物イオンの供給に着目して、①実桟橋における現地測定、②数値解析によるパラメトリックスタディーを実施し、桟橋内における部材の位置や海象条件等の違いによる塩化物イオン供給量の変化やその空間的な分布の非一様性に影響を及ぼす要因を検討する。検討結果から、簡易的に塩害による劣化が進行しやすい箇所を評価する手法を提案するとともに、重点的に点検する箇所や劣化の兆候をモニタリングするセンサを設置する箇所を検討し、維持管理の高度化および点検の効率化に資する情報を提案する。 当該年度は①実桟橋における現地測定を1施設において実施し、桟橋上部工下面における付着塩分濃度の現地測定を行った。その結果、はり部材では海水面からの距離が近いほど付着塩分濃度が高くなる傾向が確認され、既往の知見とも一致した。一方、床版の付着塩分濃度は、はり部材の付着塩分濃度よりも高く、波の打ち上がりの影響が小さいと考えられる床版中央においても付着塩分濃度が高かった。 対象桟橋における付着塩分濃度の空間的な分布には、波による影響よりも風による影響の方が大きいと考えられたため、鉛直二次元の風況解析を実施した。その結果、桟橋下面では複雑な風況となっており、潮位の変化によって風況も変化すること、床版にも直接的に風が作用する可能性があることが示された。このことから、現地測定で床版においても付着塩分濃度が高かった理由は、風により飛来塩分が床版に供給されたためと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は実桟橋における現地測定を実施し、桟橋上部工下面における付着塩分濃度を測定した。また、桟橋下面の風況について、潮位に関してパラメトリックスタディを行い、その影響について検討した。その結果対象桟橋では、風により飛来塩分が床版にも多く供給されている可能性が示された。以上のことから、実桟橋における現地測定が済み、数値解析によるパラメトリックスタディに着手しており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き数値解析によるパラメトリックスタディを実施し、桟橋上部工下面における付着塩分濃度の空間的な分布に、どのような要因が影響するかを検討する。さらに、三次元の風況解析も数ケース実施し、ハンチや鋼管杭が桟橋下面の風況に及ぼす影響についても把握する。また、弊所内の護岸において追加の現地測定を実施する。
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Causes of Carryover |
現地測定について、測定方法を当初予定していた方法から変更したため、1回で現地測定を終えることができ、旅費および物品費に変更が生じた。 次年度使用額は、次年度実施予定の追加の現地測定に関連する費用として使用する。
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