2020 Fiscal Year Research-status Report
複合要因による損傷を有した鋼・コンクリート接合部の耐荷性能および危険性評価
Project/Area Number |
19K15079
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗本 理 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (70737709)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鋼・コンクリート定着部 / 乾燥収縮 / 付着性能 / FEM / 腐食 / RC梁 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では「本研究の目的」の1つである「乾燥収縮が鋼・コンクリート定着部の耐荷性能に与える影響の把握」に対して、前年度に得られた実験データを補完するために56日、112日、168日と長期の乾燥収縮期間の影響に関する実験を実施した。異形鉄筋D35を埋設したコンクリート供試体表面を長期にわたり乾燥収縮させた後に両端引張試験を行い、鋼・コンクリート定着部の付着性能について検討した。その結果、本研究で用いた供試体寸法では付着破壊が起きるタイミングや付着応力-すべり関係における立ち上がり剛性に対する乾燥収縮期間の影響があまりみられない結果となった。一方、本研究で仮定した付着破壊時における最大付着応力を乾燥収縮期間別に比較すると、乾燥収縮期間が長くなるにつれて、付着応力が徐々に低下し収束する傾向が得られた。 次に、「本研究実施計画」である環境的要因と力学的要因を統一的な損傷度として評価可能な数値解析手法に関する検討に関して、本研究の前段階として鉄筋の腐食による環境的要因と外力による力学的要因を考慮したRC梁の時刻歴応答解析をFEMを用いて実施した。具体的には鉄筋の腐食による損傷したRC梁に静的荷重を作用させ、実験による時刻歴応答と比較することで解析手法の妥当性について検討した。その結果、鉄筋の腐食によるコンクリートのひび割れ損傷を力学的に考慮したモデルが考慮しないモデルよりも実験結果に近い結果が得られ、本研究で用いた手法が環境的要因と力学的要因を組み合わせて定量的に評価可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の実験計画では、鋼・コンクリート接合部に対する損傷要因として、環境的要因はコンクリートの乾燥収縮と鋼材の腐食の2種類、力学的要因は静的荷重と動的荷重の2種類を検討項目としていた。そのうち、現状ではCOVID19や実験環境整備の遅延、乾燥収縮に関する追加実験等により、乾燥収縮による環境的要因と静的荷重による力学的要因を組み合わせた複合要因による実験的検討が終了している。残りの要因に関する実験に関しては、次年度での実施もしくは既往の実験結果を参考にした数値解析による代替案を検討している。 次に、数値解析による当該年度の計画ではコンクリートの乾燥収縮によるひび割れと外力による損傷を統一的に評価可能なモデルを提案することを予定していた。しかし、研究を遂行するにあたり、実験的検討の進捗状況による影響も踏まえて既往の研究でのノウハウを活かした鉄筋の腐食による環境的要因と外力による力学的要因を組み合わせた数値解析手法の妥当性に関する検討に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策を以下に示す。 1)鉄筋の腐食による環境的要因と動的荷重による力学的要因に関する検討 鉄筋の腐食による環境的要因に関しては、当該年度の研究において静的荷重による力学的要因と組み合わした複合要因による損傷を考慮したRC梁のFE解析に関する検討を実施しており、本研究手法の妥当性を確認している。そのため、本手法を用いて動的荷重との複合要因を考慮した解析的検討による代替案を現在計画している。 2)乾燥収縮による環境的要因と力学的要因を考慮した損傷統一力学モデルの提案 当該年度に検討した鉄筋腐食による環境的要因と静的荷重による力学的要因を考慮したRC梁を対象とした解析的検討をもとに、力学的要因である外力が作用した条件下において乾燥収縮によるコンクリートのひび割れが鋼・コンクリート定着部の付着性能に与える影響を定量的に評価可能なモデルを提案する。 最後に、本研究で提案したモデルを用いて実規模サイズの鋼・コンクリート接合部を対象とした定量的耐荷性能評価を実施し,健全な状態における耐荷力に対する減少比率から鋼・コンクリート接合部の危険性を評価する。
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Causes of Carryover |
次年度はこれまでの実験成果および次年度実施予定である解析的検討による成果を精査したうえで学会などを通じて情報を発信していくための論文投稿料や旅費、さらに当該年度と同様の解析環境を整備するためのソフトの更新料やデータ保管用HDD等に使用する計画があるため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(2 results)