2019 Fiscal Year Research-status Report
地震時挙動の解明に基づく蛇籠型受圧体を用いた埋設管屈曲部スラスト力防護対策の確立
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19K15090
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
荒木 裕行 香川大学, 創造工学部, 講師 (30780837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スラスト力 / 蛇籠 / 埋設管 / 液状化 / 地震時挙動 / ジオテキスタイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,新たなスラスト力防護対策の確立に向けた検討を行うものである.スラスト力防護対策とは,地中埋設管の屈曲部に生じるスラスト力によって埋設管が不安定化するのを防止するための対策である.本研究で対象とするのは礫とジオテキスタイルで作製した蛇籠型受圧体を埋設管の側部に設置する手法である.対策効果の一部は静的な基礎実験を通じて既に明らかになっているが,周囲の地盤が完全に液状化した状況下での埋設管と蛇籠型受圧体の地震時挙動,蛇籠型受圧体による変位抑制効果や水圧消散促進効果は未解明である.本研究では,加振により強制的に液状化させた模型地盤中で埋設管に対してスラスト力を模擬した水平力を与える振動台実験を実施することで,以上の点の解明を目指す. 本年度は,振動台実験の実施に先立ち,加振により模型地盤を液状化させた状態で模型地盤中の埋設管模型等に対して水平力を載荷するという実験条件を満足させるため,加振時水平力載荷装置を作製した.この装置を用い,液状化させた模型地盤中で蛇籠型受圧体に対して水平力を与える模型実験を実施した. 本年度に主として検討したのは,液状化地盤中の蛇籠型受圧体の過剰間隙水圧消散効果および地震時挙動である.まず,蛇籠型受圧体の設置の有無による周辺地盤の過剰間隙水圧の違いに着目すると,蛇籠型受圧体を設置した地盤では加振終了後の過剰間隙水圧の消散に要する時間が短縮されており,蛇籠型受圧体に過剰間隙水圧の消散促進効果があることを確認した.また,加振中においても蛇籠型受圧体内部では過剰間隙水圧の上昇が抑えられていることを確認した.次に,蛇籠型受圧体の変位の時刻歴変化に着目すると,加振中は水平力の大きさに比例して蛇籠型受圧体の変位が増大すること,加振開始直後と加振終了直後は周辺地盤が液状化しているにもかかわらず蛇籠型受圧体の変位がほとんど生じないことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,振動台実験を実施することで,加振により液状化した地盤内における蛇籠型受圧体の過剰間隙水圧消散効果,地震時挙動に関する重要な知見を取得することができた.当初計画では蛇籠型受圧体の過剰間隙水圧消散効果は次年度で検討予定であったが,先行して実施することができた.蛇籠型受圧体の有無による埋設管の地震時挙動の違いに関する実験データも一部取得できているが,異なる条件下での実験データを得た上で次年度に詳細に検討を行いたい.よって,概ね順調に実施できていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度においても令和元年度に引き続き,加振により強制的に液状化させた模型地盤中で埋設管にスラスト力を与える振動台実験を実施する.令和元年度に把握した蛇籠型受圧体の地震時挙動を踏まえ,令和2年度には特に蛇籠型受圧体の有無による埋設管の地震時挙動の違いに着目した実験ケースを実施し,データの取得を行う.また,先行的に検討した蛇籠型受圧体の過剰間隙水圧消散効果についても踏まえた上で,液状化した地盤内で蛇籠型受圧体が発揮し得る対策効果についてとりまとめを行う.得られた知見については学会および論文集等に発表を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初に想定していたよりも出張費を抑えることができたこと,論文投稿に係る経費の請求時期が翌年度になったことから,次年度使用額が生じた.論文投稿費用については確定した後に速やかに執行し,出張費については次年度予定している学会出張等の旅費に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)