2019 Fiscal Year Research-status Report
流路形態に応じた河道内樹林化の不可逆的進行特性の解明
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19K15095
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久加 朋子 北海道大学, 工学研究院, 特任准教授 (50751236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 河道内樹木 / 流路変動 / 交互砂州 / 網状流路 / 蛇行流路 / 2次元河床変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,河川における河道内樹林化の不可逆的進行特性の解明とそれに伴う長期的な河床・流路変動特性の変化を明らかにするものである.1年目となる本年度は,流路形態の違いに応じた河道内樹林化特性について水路実験および数値解析を用いた検討,および忠別川を対象とした長期的な植生侵入状況と流路形態との比較を実施した.(1) 水路実験では蛇行流路への植生侵入特性を把握すると共に,植生強度(出水時に流失しやすさ)の違いが蛇行流路の移動量をどの程度変化させるかについて把握した.結果,植生の定着箇所は流路形状によって異なるものの,いずれの地形(交互砂州や網状流路,他)も流路内の流量低下に伴い河岸沿いに沿って種子が多量に定着することが示された.また,植生強度と蛇行流路の流路変動量との関係については,植生が存在しない場よりも,流路内の植生が若い(出水時に流失しやすい)ほど,流路幅を拡幅させることがあること確認された.これは,従来の報告(河道内樹木は流路の蛇行化を促す)とは逆の現象である.つまり,沖積河川における植生は,若くて容易に流失する場合,局所的な川幅拡幅をもたらすと共に,流路蛇行化よりも網状化を促す傾向が強いことが示された.(2) 続いて,航空写真を用いた流路の蛇行化と樹木侵入状況について忠別川を対象に経年的な比較を実施した.結果,河道内樹木が増え始める時期は,降雨量の少ない時期が数年続いた時とほぼ同時に生じていることが確認された.その後,忠別川ではダム運用が始まり出水時の流量ピークが抑制され,植生が次第に増加した.近年の既往報告でも,植生の初期侵入は大規模出水よりも,1~2年確率の中規模な出水に支配されることが示唆されており,今後,忠別川以外の河川においても同様の傾向が確認されるかどうか,追加調査を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,初年度の水路実験は終了した.また,初年度の計画であった航空写真を用いた樹木侵入と流路変動特性との対応関係についても忠別川を対象に終了した.ただし,航空写真を対象とした検討については,一般性を指摘するためにも,現在,忠別川以外にも追加で1~2河川,実施したほうがよいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,2年目からは2次元河床変動解析を利用した出水時の河道内樹林化特性の解明および航空写真・衛星画像を利用した長期的な樹木侵入特性の整理を行う.数値解析の精度確認には,これまで実施してきた水路実験データを用いる.長期的な動態の検討には水路実験に加えて,石狩川および札内川(共同研究の枠組み内でデータ取得済み)を対象に実施し,河道内樹林化の不可逆的進行特性の把握を試みる.
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Research Products
(11 results)