2020 Fiscal Year Research-status Report
流路形態に応じた河道内樹林化の不可逆的進行特性の解明
Project/Area Number |
19K15095
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
久加 朋子 北海道大学, 工学研究院, 特任准教授 (50751236)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 河道内樹木 / 流路変動 / 交互砂州 / 網状流路 / 蛇行流路 / 2次元河床変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,河川における河道内樹林化の不可逆的進行特性の解明とそれに伴う長期的な河床・流路変動特性の変化を明らかにするものである。2年目は,高水敷河岸における植生根の存在(耐侵食性強化)に伴う流路拡幅特性の違いに着目し,大型水路実験および数値解析を行った(申請者による既往実験では,高水敷にも水が流れていたため,植生茎と植生根の影響の分離が難しかった。今回,高水敷には水が流れない条件設定を行った)。実験では水面下の河床形状を測定可能な超高精細インラインプロファイル測定器(Keyence社製)を新たに用い,これまで通水開始と終了時のみ測定していた河床高について,(1) 30分に一度通水を止めて河床高を計測すると共に,(2) 河岸近傍にも計測機を設置し,河岸付近の低水路の河床高の連続変化の計測を試みた。結果,実験開始前に局所的な河岸侵食の発達に影響すると想定していた河岸の「オーバーハング」は殆ど確認されなかった。植生が存在する場合に河岸侵食が急激に進むプロセスは,(1) 蛇行流路の前進に伴い水衝部が移動する,(2) この際,河岸近傍に強い流れが誘発され,実験中の大半の時間は河岸から少し離れた場所を流れる流砂が,河岸直下を流れる時間がある。蛇行流路の急激な川幅拡幅は,このタイミングで起きる,(3) 河岸近傍の植生群の流失は塊状で発生する。この植生流失は水衝部から始まる,(4) 流失した植生群下流域の植生域が強い流水抵抗を受け,新たに塊上で流失する,(5) このプロセスが繰り返されることで,次第に局所的な流路拡幅へと発展する。つまり,本研究では,植生の存在下における局所的な流路拡幅特性について数値モデル化するにあたり,平面的な河岸形状の考慮のみ(縦断的な河岸の弱部(オーバーハング等)まで考慮しない)でも,植生の存在による流路変動特性をある程度評価できることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,2年目の水路実験は終了し,植生茎と植生根の影響を分離して考察可能な実験結果を得た.また,数値解析に組み込む必要があるかどうか要件等であったオーバーハング(縦断的な河岸の耐侵食性の弱部)について,組み込まずとも,現状では植生の存在に伴う流路変動特性の変化を表現できることを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り,3年目からは2次元河床変動解析を利用し長期的な樹木侵入特性の検討を行う。検討には水路実験に加えて,石狩川および札内川(共同研究の枠組み内でデータ取得済み)を対象に実施し,河道内樹林化の不可逆的進行特性の把握を試みる.
|
Research Products
(12 results)