2021 Fiscal Year Annual Research Report
新たな経験的モデル開発による爆弾低気圧に起因する高潮・高波予測手法の構築
Project/Area Number |
19K15097
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
二宮 順一 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (20748892)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 爆弾低気圧 / ニューラルネットワーク / d4PDF / 大気海洋波浪結合モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
大気海洋の現地観測結果の解析することによって,波浪による海洋混合のモデル化を行い,それを最先端の大気海洋波浪結合モデルに組み込んだ.モデル化では,風向きと波向きとの差に着目して観測結果を整理すると,風向きと波向きの差が大きくなるほど交換係数が大きくなる関係を得た.このモデルを大気海洋波浪結合モデルに組み込み,相互作用効果が端的に評価できる台風での数値実験を実施した.その結果,海洋の混合が既存モデルに比べて抑制され,水温分布が変化するだけでなく,台風をより発達させることが明らかとなった. 大気再解析値JRA-55やアンサンブル気候予測データセットd4PDF,150年気候シームレスランの結果を解析することによって過去から将来における日本周辺の爆弾低気圧の特性変化を解析した.その結果,南岸経路が減少し,日本海経路が増加する傾向を示し,強い低気圧の比率が増加することが分かった.この傾向は北日本の災害リスク増加に直結する.また,爆弾低気圧による高潮災害として根室を対象に,高波災害として富山を対象に簡易推定式や高潮モデル,波浪モデル,ニューラルネットワークを使用してその将来変化を解析した.将来における根室の高潮は平均値の変化はほとんどないが,規模のばらつきは拡大する傾向を示した.富山における年最大有義波高の有意な変化は見られなかったが,北寄りの強風の頻度の低下によって高波の発生頻度は減少した. 以上のとおり,当初研究計画で示した観測をもとにした数値モデルの高度化,爆弾低気圧の解析,高潮及び高波の将来災害リスクの予測をそれぞれ実施した.これらの成果は国際誌に2編,国内誌に10編の論文として出版された.
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