2019 Fiscal Year Research-status Report
低塩分濃度水攻法の石油回収率向上を目指したデジタル岩石解析手法の開発
Project/Area Number |
19K15100
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
Jiang Fei 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (60734358)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 多孔質媒体 / EOR / 多相流 |
Outline of Annual Research Achievements |
油価低迷の中、石油の生産手法として、コスト削減と同時に回収率を向上かつ環境への負荷が少ない低濃度塩水攻法が注目を浴びている。しかし、この回収法はどのような油田(原油・油層水・岩石の特性)で効果を発揮するか,どの程度効果(回収率増加)があるのかとの評価が難しい。本研究では、岩石空隙構造の形状、流体の性質などの影響を考慮し、低濃度塩水攻法の回収率の評価及び向上を目的としたマルチスケールモデルの開発及び大規模デジタル岩石シミュレーターの構築を目指している。 平成31年度ではべレア砂岩のマイクロCT画像からデジタル岩石形状モデルを構築した。デジタル岩石隙間内部における塩分濃度の空間分布影響を考慮するため、濃度場計算モデルと二相流(油・水)モデルを融合し、低濃度塩水によるpore scaleの油の置換挙動を正確に評価できるシミュレーション手法を開発した。また、局所の塩分濃度と鉱物壁面濡れ性の間の関連性を数式化することで、原油液滴が平板上の剥離挙動を再現し、低濃度塩水攻法の有効性をシミュレーションで確認できた。構築したデジタル岩石モデルを用いて、実岩石形状でシミュレーションを行った結果、直接に低塩分水を圧入した場合は50%の石油増産効率が得られた。また、塩分濃度の拡散係数が石油増産効率へ与える影響についても調査した。その結果、油滴周囲の塩分濃度勾配による濡れ性のアンバランスが新たな低濃度塩水攻法の増産メカニズムになることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、pore scaleでの濃度場を含めたマルチフィジックス多相流体シミュレーターの構築ができたため、予定の目標をほぼ達成している.
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度では、開発したマルチフィジックスモデルを超大規模デジタル岩石シミュレーターに拡張する。超大規模実岩石X線CTモデルで、低濃度塩水環境下油挙動のシミュレーションを行い、core scaleの実験と直接比較し検証する。デジタル岩石での大規模計算によって、岩石空隙構造の形状、油層の連続性、浸透率、圧入指数、流体の性質などが低濃度塩水攻法の回収率への影響を明らかにし、回収率向上に寄与するキーパラメータを発見する。得られた結果(塩水濃度と浸透率の関係)を貯留層解析へ応用し、実際の低濃度塩水攻法の石油生産挙動を予測する。
|
Causes of Carryover |
国内学会の発表を予定していたが、学会が中止となったため、旅費の余剰を生じた。この次年度使用額を論文発表及び学会発表に使用する予定である。
|
-
[Presentation] Changes in Hydraulic, Electric and Mechanical Properties with Aperture Closure: Insight from Experimental and Numerical Approaches2019
Author(s)
Sawayama, K., Ishibashi, T., Jiang, F., Tsuji, T., and Fujimitsu, Y.
Organizer
The 5th ISRM Young Scholars' Symposium on Rock Mechanics and International Symposium on Rock Engineering for Innovative Future
-