2019 Fiscal Year Research-status Report
Improving catchment scale stream habitat models based on a runoff analysis: focusing on flow regime and spatial resolution
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19K15101
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
糠澤 桂 宮崎大学, 工学部, 助教 (20725642)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分布型流出モデル / 底生動物 / 種分布 / 機械学習 / ランダムフォレスト / 水理勾配 / 流況改変 |
Outline of Annual Research Achievements |
対象領域の宮崎県小丸川流域において分布型流出モデルを適用した.この作業は2018年度までにも実施していたが,精度向上と研究対象期間(2016~2018)における検証を更に実施した.結果としてNS係数は3年間において上流で0.909,下流で0.937となり,再現性の高い流出計算が可能となった. 流域全体の河川流況指標を計算した.さらに,水系内に6基の多目的・発電用ダムが存在するため,ダム放流や発電放流の境界条件を考慮した流出計算と,ダムの条件を全て考慮しない計算をそれぞれ行い,両者の比により流況改変程度を流域全体で定量化した.結果として,発電放流により豊水流量の改変は緩和される一方,平水~渇水流量における緩和効果は不十分だった.流量の少ない流況ほど,支流からの流入量増加に比例し緩和効果が増加する傾向を示した.これは,緩和効果が支流合流の空間配置よりも流入量に依存して高まる事実を示唆する. 2018年度11月における瀬の調査に加えて,同時期(2019年11月)に淵を含む22地点を対象に追加調査を実施した.瀬~淵の底生動物群集(計155分類群)の在/不在を目的変数,流速や水深を含む環境要因を予測変数に,機械学習のアルゴリズムであるランダムフォレストにより分布予測モデルを構築した.結果として,水理変数(流速・水深)の平均重要度の順位は,2018年調査結果のみ用いたモデルでは15変数中12番目・14番目だったが,2019年調査結果を加えることにより,同様の15変数中4番目・3番目と大きく向上した.水理変数を加えたモデルと外したモデルそれぞれで,交差検証を100反復実施して二値分類モデルの精度評価指標であるAUC(Area Under Curve)を計算すると,水理変数モデルでAUCは有意に向上することが示された(対応のあるt検定).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象期間の流出解析は概ね実施できており,さらにダムのある・なし条件の計算による水系内の流況改変程度の定量化が実施できている.さらに,生物データを用いた種分布モデリングについても,実装出来ている,これは2年目までに実施予定の作業であり,これら研究項目は計画以上に進展していると言える.その一方,高解像度の分布型モデル開発等は完了していない.これは計画を変更し2年目までに作業完了する予定である.以上より,総合的に進捗状況を考えると、その区分を「(2)おおむね順調に進展している」とすることが妥当と考えた.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目には上流域を対象とした高解像度流出モデルの開発を進める.さらに,流出解析により得られたダムによる縦断的な流況改変程度を生物予測モデルの予測変数として用いることで,本研究で得られた流況改変指標の予測能力をテストする.この際,機械学習を含む複数のモデルによる予測を比較するアプローチを検討する.
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Causes of Carryover |
解析・計算のためのソフト等を必要とする作業を1年目に実施していないことが理由である.2年目以降に適宜必要性を検討し購入を考える.必要なしと判断された場合,PCR実験試薬や論文出版費等に充当する予定である.
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Research Products
(6 results)