2020 Fiscal Year Research-status Report
Dynamic and statistical approaches to super moon effect on beach morphological change
Project/Area Number |
19K15106
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
伴野 雅之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (80549204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スーパームーン / 近地点 / 海岸侵食 / 砂浜 / 潮汐 / 大潮 / 遡上域 / 長期観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は長期の海浜地形観測データを活用し,これまで未知の地形変化プロセスであったスーパームーンによって生じる海浜地形変化(スーパームーンエフェクト)を科学的に立証することを目的としている。 2020年度においては,スペクトル解析によって海浜(波の遡上域)の地形変化が14.77日周期と27.55日周期の二つの周期性を有していることを明らかにした。満月から新月となるまで(もしくはその逆)の日数が14.77日であり,大潮は14.77日ごとに生じる。また,月の公転軌道は楕円軌道であり,月と地球の距離は27.55日周期で変動する。月と地球の距離が最も近くなる近地点においては,月の引力が大きくなるため,起潮力が大きくなる。これら二つの周期が同期し,地球に最も近い満月や新月はスーパームーンと呼ばれており,通常の大潮よりも大きな干満差(King tide)が生じる。今回明らかとなった周期的な地形変化プロセスは,スーパームーンによって生じるKing tideで大きな地形変化が生じやすくなるというものであり,これまで未知の地形変化プロセスであった。 特に,遡上域の上部において,これらの干満差の増大によって侵食が生じやすくなる結果が得られており,統計解析の結果からも,同じ波浪が作用したとしても上部遡上域で49%侵食が大きくなる可能性が示唆されている。 なお,予定していた現地観測による詳細なメカニズムの解明には至っていないものの,過去の長期データから新たな地形変化現象が明らかとなっており,この成果は社会的なニューストピックにもなるなど注目もされた。2021年度においては,本プロセスを既存の予測モデルに考慮することで予測精度の向上やメカニズムの解明を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所の目的であるスーパームーンエフェクトの現象が解明され,仮説が実証された。特に地形変化の大きさとしては,波の遡上域における地形変化を考える上で無視できない大きさであったことから,これらの現象を既存の数値モデルに考慮することで予測精度の改善が期待でき,研究課題の進捗状況としては概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度には,既存の予測モデルに新たに明らかとなったスーパームーンエフェクトを考慮することで予測精度の向上を試みる。また,高頻度な前浜地形計測の実施を検討し,海浜地形変化におけるスーパームーンエフェクトのメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた現地での海浜地形の高頻度連続観測の実施ができなかった。これに伴って2020年度においては,それまでの成果の論文発表等を行うとともに,メカニズムの仮説を検討した。2021年度使用予算については,既存の数値モデルの改良に伴ったデータストレージ等の購入や現地観測が実施できた場合の計測機器や消耗品等の費用に充てることとしたい。
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Research Products
(5 results)