2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dynamic and statistical approaches to super moon effect on beach morphological change
Project/Area Number |
19K15106
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
伴野 雅之 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (80549204)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スーパームーン / 海岸侵食 / キングタイド / 大潮 / 近地点 / 海浜モニタリング / 砂浜 / 潮汐 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は長期の海浜地形観測データを活用し,これまで未知の現象であったスーパームーンで生じる海浜地形変化(スーパームーンエフェクト)を明らかにし,科学的に立証することを目的とした。最終年度までに,長期の地形観測データに対する周波数解析や統計解析によって,前浜地形が大潮・小潮の周期,さらにKing tideと呼ばれる通常よりも干満差の大きい大潮の発生に関連した周期で変動していることが示された。このKing tideは,月が地球に接近した時の満月(スーパームーン)によって引き起こされる大きな潮汐差であり,スーパームーンが潮汐変動を通じて海浜地形変化に影響を与えていることが科学的に初めて証明された。 2022年度はレーザー測距による前浜のリアルタイム観測をKing tide発生時に実施した。それにより,King tideによって引き起こされる侵食がどのような過程で生じているのかを明らかにすることを試みた。現時点では1回の観測結果しか得られておらず,明確な地形変化過程の同定には至っていないものの,King tide時の前浜の侵食傾向が再現されたとともに,レーザーによるリアルタイム地形観測の有用性が示された。同時に長期の地形観測データをもとにしたディープニューラルネットワークによる地形変化予測モデルを構築した。本モデルではスーパームーンエフェクトに関連した潮汐差を考慮していることから,潮汐差による地形変化への影響を様々な条件に対して検討できる。現時点では,本モデルの予測精度は必ずしも十分ではないことから,引き続きモデルの予測精度の改善の検討を進める予定である。 本研究で示された地形変化は潮汐変動(海面の変動)によって影響を受けるものであり,将来の海面上昇に対する海浜地形応答にも関連する重要な現象の発見であり,今後の海浜における気候変動研究においても有用な成果である。
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Research Products
(3 results)