2020 Fiscal Year Research-status Report
Barriers and measures for carrier continuity of women civil engineers obtained from their oral histories.
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19K15109
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河合 菊子 (山田菊子) 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 研究員 (00466476)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オーラルヒストリー / オンラインインタビュー / 成熟度モデル / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目となった2020年度は,期間を通じてCOVID-19の感染拡大のために移動や人との接触が抑制された.このため,当初予定したインタビューの実施は全面的に中止し,(a) オンラインでのインタビュー方法の提案と実践,(b) 話し手の置かれた時点での社会の状況を評価する成熟度モデルのレビュー, (c) 音声,トランスクリプトなどの記録の蓄積方法の探索を中心として研究を進めた.これらは本課題で定めた3つの研究課題((1)我が国の初期の女性土木技術者に対する数時間のインタビューから長期にわたるキャリアを通じて直面する課題と,その課題を解決した法律,制度,支援を把握する方法の有効性を把握すること,(2) 分析の結果をインタビューの記録とともに女子学生,女性技術者とその支援組織に提供すること,(3) インタビュー記録の恒久的な保管の方向性を見出すこと)のうち,それぞれ(1),(2),(3)に該当する. まず,(a)については,土木学会ダイバーシティ・アンド・インクルージョン推進委員会(D&I委員会)と共同で,ウェブ会議システムを用いたインタビューの方法の確立に取り組み,「D&Iカフェトーク」での実践を開始した.2020年度中に2件,本報告作成時点までに5件のインタビューを実施した.実践のために,著作権及び肖像権に関する契約様式,録音・録画機材の選定および設定マニュアルを作成した.また,録画データからのトランスクリプトの作成手順を整備した.(b) については,国内外の評価制度,成熟度モデルを収集,レビューを実施し,モデルのユーザーとその利用状況から仕様の策定を進めている. (c) については,アーカイブに関する既往研究のレビュー,仕様の策定に取り掛かった. 2020年度中には,2019年度の研究成果を元に,インタビュー資源の活用方策の提案を発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度はインタビュー調査に注力する予定であったが,COVID-19の感染拡大による移動の抑制と,高齢の話し手への配慮より,対面でのインタビューを実施しなかった.このため,予定したデータの取得を行えなかった.しかしながら,オンラインでのインタビュー実施方法,必要な様式を策定したほか,機材の選定と設定マニュアルを用意したことにより,2021年度以降でのオンラインでのインタビュー実施の目処を立てることができた.また,記録の考察に用いる土木界におけるD&I成熟度モデル,アーカイブに求められる仕様の設計に着手できたことから,「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
現下の状況を鑑みて,本研究課題の実施期間における対面のインタビューは実施せず,すべてオンラインにより実施することとする.このため,今後も継続してオンラインでのインタビューが実施できる体制を整えた上で,2020年度の実施を計画していたインタビューを実施する.具体的には,2020年度に策定したオンラインによるインタビュー方法,様式,マニュアル等を活用してインタビューを実施しデータの取得を行う.また2020年度に予定した4名を対象とすることを既取得のデータを合わせて分析に着手する.また,分析に必要となる社会や組織のD&I成熟度を評価するモデルの開発に,引き続き,人間中心アプローチにより取り組む.さらにデータの継続的公開と保管のためのアーカイブについて,年度内に仕様を策定し,運用のための具体的な交渉を開始する.研究成果は,日本オーラルヒストリ学会,土木学会に加え,Engineering, Construction and Architectural Management等の海外の雑誌に投稿を目指す.
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Causes of Carryover |
COVID-19感染拡大に伴って研究打ち合わせをオンライン会議に変更し出張を取りやめたこと及び,話し手の安全確保のために対面によるインタビューの実施を中止することとしたため,インタビュー調査にかかる各種の経費(話し手に謝金,資料代,旅費,文字起こし料,会場代,会議室代,等)が発生しなかった. 次年度は,次の通りの使用を計画している: インタビュー実施について,話し手に関する資料代,話し手への謝金,文字起こし料,会場代;研究打ち合わせについて,会議ツール使用料,ウェブ会議システム使用料;インタビュー結果の分析に関して,データサーバ使用料金,記録媒体代,論文・書籍代,送料;研究成果の発表について,学会参加料,論文投稿料,英文校閲料,旅費
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