2019 Fiscal Year Research-status Report
人口減少社会における地球温暖化対策と地域の持続可能性
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19K15114
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
玉置 哲也 香川大学, 創造工学部, 講師 (10820053)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 気候変動 / 持続可能な開発 / 人口減少社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,人口減少化にある日本において行われるべき温暖化対策を明らかにすることを目的としている.本年度では,日本における温暖化シナリオを作成するため,地球温暖化の統合章化モデルの一つであるRICEモデルを応用し,日本国内で二酸化炭素削減をどのように負担するべきか分析するためのモデルの開発を行った.ここで提案するモデルでは,世界的な目標(2度目標など)を実行する上での日本の目標値をRICEモデルで推計する.そして,RICEモデルによって推計された平均気温上昇による被害率の将来予測関数と日本における二酸化炭素排出パスを外生値として与える.提案するモデルに組み込むことで,日本国内において排出量規制の在り方や地域間輸送コストの有無による経済的な影響を分析することが可能になる.提案モデルを用いて,地域ごとに異なる排出規制をとるべきか全国で統一した排出規制をとるべきか分析した結果,想定するシナリオや輸送コストの大きさに大きく依存することが分かった.輸送コストが極めて高い場合,より統一的な規制にすることで関東における資本への投資は若干抑えられていくものの,地域間の輸送コストが低くなれば,関東で集中して生産を行うインセンティブが増加することで,関東への資本投資は増加することが予見される.この資本投資の集中は,排出規制の違いによる影響よりも極めて大きいと考えられ,輸送コストの低下は関東への資本の集中の可能性を示しすという結果が得られた.この結果は,国際学術誌Carbon balance and managementに投稿し,既に掲載されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では,1年目から2年目にかけてインプットデータの推計および最適配分モデルの開発を行う予定であったが,どちらも順調に進んでおり,特に遅れはない.また,本年度は当初の予定通りアンケート調査を行う予定である.ただし,昨今のCOVID-19の影響により,実施時期を見直すことも考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目から2年目にかけて行う予定であるモデル開発は順調に進んでおり,引き続きモデルの改善を行う予定である.また,本年度には人的資本を推計するためのアンケートを行う予定であるが,昨今のCOVID-19の影響があるため,来年度に実施することも視野に入れている.アンケートの実施ができなければ,3年目に行う予定であった生態系変動推計モデルの開発を前倒しして行うことを計画している.その場合,研究の順序は入れ替わるが,特に大きな問題はないと考えている.一方で,この機にうまくアンケートを実施できれば,未曽有の事態における人的資本の変化を観察できる可能性がある.将来起こりうる巨大災害等による人的資本の損失を推計するためにも,この結果は大変貴重なデータとなりうる. そこで,当初の計画にはなかったものの,もし本年度にアンケート調査を実施できるようならば,疫病リスクによる人的資本の変動も研究課題の一つに加えることも考え,調査アンケートの設計を行う.アンケートの実施可否をもとに慎重に判断を行う所存である.
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Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費の執行を行ったため当初の見込みと実際の執行額に8000円程度の差が生じているが,研究計画に大きな変更はない.また,前年度の研究費も含め,当初の予定通り計画を進める予定である.
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Research Products
(4 results)