2019 Fiscal Year Research-status Report
Precise prediction of operational flight trajectory for four-dimensional management of air traffic flow
| Project/Area Number |
19K15116
|
|---|
| Research Institution | Kochi University of Technology |
|---|
Principal Investigator |
原田 明徳 高知工科大学, システム工学群, 講師 (70785112)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
| Keywords | 航空交通管理 / 軌道予測 / 時間ベース軌道管理 / 軌道最適化 / 運航効率向上 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は，我が国の先進的な航空交通流管理システム実現の鍵となる高精度な軌道予測の計算技術を確立することである．「精緻な数値モデルに基づく最適軌道による軌道予測」という独自の方法により定期運航便の飛行軌道をより精度よく予測する．
令和元年度はこれまでに開発した４次元最適飛行軌道計算ツールを用いて，飛行管理システムFMSの生成するコマンドに従って飛行していると見なされる飛行の高度および対気速度の軌道を予測することで飛行経路上の定点通過時刻を精度よく予測可能な解析ツールの開発を行った．高度および対気速度の軌道の計算には機体質量およびコストインデックスCIが重要な要素となることを突き止め，機体質量については航空機性能モデルBADAの低減上昇パワーモデルにより推定した値を用いることで通過時刻の誤差の平均値を改善することができた．また，気象状況の時間変化を考慮することで誤差の抑制に一定の効果が認められ，計算で使用する気象データに予報値を用いることの有意性が示唆された．CIは航空会社が定める運航パラメタでありその決定方法は公開されていないが，本研究では今後，運航データからCIを推定する方法を模索する．
軌道予測の正解値とする飛行データとして主にCARATS Open Dataと呼ばれる航跡データ，ウェブサイトより得られる自動従属監視システムによるデータを使用しているが，これらに依らず，かつFMSのコマンド通りの飛行を再現しデータ化する方法として，市販のフライトシミュレータの使用を提案した．軌道予測のための一データとして使用できる可能性が十分あることが判明した．
令和元年11月には，国土交通省航空局交通管制部交通管制企画課主催のCARATS オープンデータ活用促進フォーラムにて本研究の成果を一般に公開する機会を得た．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度はCARATS Open Dataおよび自動従属監視データを用いて福岡発羽田行きの複数便について軌道予測を行い，航跡データには含まれない機体質量に推定値を用いると予測精度が向上することが明らかになった．また，CIについては運航データによる推定法のおおよその見当を付けることができた．４次元最適飛行軌道の計算についてはリアルタイム性を向上させるためよりシンプルな最適化手法による計算ツールの整備に着手した．
また，軌道予測の参照データを市販のフライトシミュレータにより生成する方法を発案した．シミュレータ内で動作する機体アドオンおよび離着陸性能計算ソフトウェアを購入した．当アドオンで使用できる機種は１機種のみであるが，空力やエンジン等のモデルがBADAとよく合致することが確認できた．今後はさらに詳細な気象データをシミュレータに組み込むことで現実の飛行をどの程度よく再現できるか確認し，種々の路線および風況下で軌道予測の参照データを生成する．
使用する飛行データについては，これらの他にも航空会社から機上にて記録されたデータを購入する手続きを進めている．飛行軌道に関するより詳細かつ正確な情報が得られることから軌道予測の精度向上に大きく寄与することが期待される．
|
| Strategy for Future Research Activity |
軌道計算のリアルタイム性の向上に向けたツールの整備を継続するとともに，すでに開発した計算ツールを用いて，時間ベースでの交通流管理の具体策を検討する．本研究にて開発した軌道予測手法を用いて適切に交通流管理を行うことで全体の運航効率の向上につながることを統計分析により定量的に示すことを今後の目標とする．
|
| Causes of Carryover |
今年度予算で購入予定だった飛行データが手続きの遅れにより次年度の購入になったため．今回生じた次年度使用額はすべて飛行データの購入費用に充てる．
|
Research Products
(7 results)
