2019 Fiscal Year Research-status Report
最終処分場への汚濁負荷低減のための焼却排ガス・廃熱を用いた焼却飛灰処理技術の開発
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19K15120
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 昌宏 北海道大学, 工学研究院, 助教 (30639000)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 循環洗浄 / 塩濃縮 / 脱塩 / 重金属溶出抑制 / 焼却飛灰 / 重金属除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭酸ガスバブリングによる焼却飛灰の中和における元素溶出挙動及び処理灰の溶出特性を明らかにするため、炭酸ガスをバブリングしながら焼却飛灰を洗浄し、溶媒を回収、新たな焼却飛灰を繰り返し洗浄した。1回の洗浄における液固比(以降、単液固比)を3、5、10とし、ガス温度は常温とした。 単液固比によらず洗浄液のCl濃度は、循環回数に対して直線的な増大傾向を示し、最大で239 g/Lに達した。Cl濃度は、同一の循環回数では、低い単液固比ほど高く、同一の累積固液比では、単液固比によらず同程度であった。この結果から最大濃度までは、洗浄液のC1濃度の溶出への影響は小さいと考えられる。これは、溶出量と初期含有量が、どの条件でもほぼ等しいことからも明らかであった。Caも同様に、循環回数により洗浄液のCa濃度が増大しても溶出量は低下する傾向になかった。これは、易溶性Caが循環回数によらず、すべて溶出するためと考えられる。Pb、Zn、Cd濃度は、累積固液比が大きくなると増大し、十分な炭酸中和の条件では、洗浄液のpHは6程度まで低下した。バブリング時間が短く、炭酸中和が十分でない系ほど、pHは比較的高く、ZnとCd濃度は低下する傾向にあった。累積固液比が同じ条件でも単液固比10では、溶出濃度が異なり、洗浄液のpHの影響が考えられた。従って、飛灰から重金属を除去する観点から、十分な炭酸中和を行うことが有効であると言えた。 処理後の溶出特性については、処理灰を液固比10の溶出試験を実施した結果、処理灰からのClや易溶性Ca溶出量は、単液固比が小さく循環回数が多いほど増大した。小さい単液固比で循環回数が多いほど、処理灰から分離できない保有水中の濃度が高いことが要因と考えられた。処理灰の重金属については、十分なバブリング処理時間であれば、循環洗浄を行っても中和可能であり、重金属溶出は抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は以下3つの目的で実験を行っており、目的別に進捗を説明する。 目的①最大温度200度程度の高温ガスバブリングによる洗浄溶媒の水量変化挙動及び炭酸濃度挙動を明らかにする。[進捗]装置の組み立てが遅れたため、予定を変更し、温度条件以外の条件を変えて、灰を用いて処理条件の予備的検討を行った。 目的②二酸化炭素を含む高温ガスを洗浄溶媒にバブリングし、焼却飛灰を洗浄、その溶媒を回収、繰り返し洗浄するときの塩化物、重金属溶出特性およびpH挙動を明らかにする。[進捗]上記の予備的検討から得られた条件で、実験し、室温における塩化物等の溶出特性を明らかにすることはできた。 目的③高温ガスバブリングで洗浄した処理飛灰からの重金属の溶出特性および固結化特性を明らかにする。[進捗]目的②の室温条件で行った実験で得られた処理飛灰について、重金属の溶出特性を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
目的①】高温ガス供給装置を用いて、ガスバブリング実験を行う。 目的②】ガス温度条件を変化させたときの処理時における溶出濃度を把握し、マスバランスを明らかにする。高温ガスの供給がうまくいかない場合は、ホットプレートを用いて高温状態を模擬的に再現する。 目的③】温度条件の異なる処理灰についてバッチ溶出試験を行う。実験の処理容量を大きくし、処理灰の量を確保することで、カラム試験を行う。
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