2019 Fiscal Year Research-status Report
下水汚泥メタン発酵前処理としてのマイクロ波照射非熱的効果機構の解明と最適化
Project/Area Number |
19K15126
|
Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
戸苅 丈仁 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (60803830)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 嫌気性消化 / メタン発酵 / 下水汚泥 / マイクロ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,水などの極性分子に作用するマイクロ波に着目し,有機性廃棄物の中でも生分解性の小さい下水汚泥余剰汚泥や下水OD汚泥に,嫌気性消化の前処理としてマイクロ波を照射し,エネルギー回収量の増加を試みた.R01年度は①マイクロ波照射実験,②回分式メタン発酵実験,③長期間連続式メタン発酵実験を行った.マイクロ波照射実験では,余剰汚泥に対しマイクロ波照射による加温・保温と乾燥機による加温・保温を比較したところ,いずれも溶解性CODが大きく増加した.続けて実施した回分式メタン発酵実験では,マイクロ波照射後に遠心分離を行い,上澄み液,固形分,全体と分けてバイオガス発生量を測定した結果,COD中の溶解成分が増加すると,ガス発生総量中の溶解成分由来の割合も増加するが,マイクロ波加温と乾燥器による加温の間にはガス発生総量自体の増加量に顕著な違いは見られなかった.未処理汚泥に対する増加量はそれぞれ7%と5%であった.連続式メタン発酵実験は余剰汚泥およびOD汚泥を用いて行った.余剰汚泥では投入エネルギーと照射強度が最も効果が大きかった条件でガス増加率が未処理に対し36%の増加となった.同条件では照射後汚泥の到達温度の平均が26℃であり,熱処理による効果とは考えにくいため,MWによる非熱的効果の可能性が示された.OD汚泥ではMW照射により21%のガス発生量の増加が確認された. 溶解性CODCr増加とガス発生量の明確な相関は確認できなかったが,照射強度10W程度の照射で到達温度が30℃以下の条件でも一定のガス発生量増加効果があることが確認された.今後は更なる低出力照射や照射時間の短縮による省エネ化の検討を行う予定である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波照射による汚泥性状の変化に着目し,分析および回分式メタン発酵実験を実施できた。また連続式実験の立ち上げについても順調に完了し,今後のさらなるマイクロ波照射条件の変化の影響を確認する準備ができたため.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はマイクロ波の汚泥への浸透深さや照射時汚泥形状による影響,照射強度,到達温度,照射時間などの様々な照射条件における性状変化,ガス生成量の変化について検討する.また,マイクロ波による非熱的効果の可能性が示されたため,その原理解明に向けて照射ご汚泥に対するさらなる分析を行う.
|
Causes of Carryover |
実験分析において一部次年度に実施することとしたため.
|
Research Products
(1 results)