2019 Fiscal Year Research-status Report
アルカリ活性セメントの(C, N)-A-S-Hナノストラクチャー解析と高性能化
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19K15132
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
金 志訓 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (60827632)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルカリ活性セメント / C-A-S-H / N-A-S-H / ジオポリマー / 環境配慮型建築材料 / 微細分析 / 炭酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリート構造物の主材料として使用されるポルトランドセメントの製造過程では、1400~1450℃で石灰石を焼成した時の熱分解や化石燃料の消費により大量のCO2が大気中に排出されている。日本ではCO2排出量全体の約4%、世界全体では約8%がセメント生産によるものである。通常1トンのOPCを製造するのに0.75~0.85トンのCO2が排出されており、CO2削減の観点からセメントに代わる材料の需要が高まっている。 本研究は、セメント生産によるCO2排出量を削減するために、環境配慮型の建築材料として用いられるアルカリ活性セメントの縮重合反応生成ゲルであるC-A-S-HおよびN-A-S-Hでの「アルカリ物質の挙動と役割を明確に」してアルカリ活性セメントの高性能化を目的とする。アルカリ活性セメントに関する研究は多く行われているが、多くの研究が圧縮強度などの特定の性質に着目している。アルカリ刺激剤や結合材の化学組成や物理的特性によってアルカリ活性セメントの細孔構造や生成物などの性質が大きく変化することが知られており、物理的特性の評価と同時に化学的特性の評価も必要であると考えられる。また長期的な耐久性や炭酸化などの劣化挙動に関するデータが少なく、実利用として普及していないのが現状である。 そこで本研究は、ペースト段階でのナノストラクチャー分析からコンクリート段階でのマクロなアプローチまで、活用データベースの構築に取り組む。活性バインダ ーとアルカリ刺激剤の種類および濃度ごとにサンプルを製作し、Ca:Si:Al:Naの比率による反応生成物の微細結合構造分析を行い、Naの結合メカニズムを視覚化する。また、物理的特性の観測から、アルカリ活性コンクリートの物性評価に対する基礎データを構築する。続いて、各劣化条件による化学的•物理的な変化を観測し、Naの結合による劣化挙動を定量化•モデル化する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究では、アルカリ活性セメントの使用する結合材の化学組成比やアルカリ刺激剤からのNaやSiの供給によって主生成物が異なることで、炭酸化性状や炭酸化後の圧縮強度に影響があることから、結合材やアルカリ刺激剤の組成および生成物を考慮した炭酸化挙動に関するデータ構築に集中した。結合材として高炉スラグ、フライアッシュを、アルカリ刺激剤として水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムを用いたモルタル試験体およびペースト試験体を作製し、炭酸化前後での圧縮強度とpHの変化、またXRDおよび29Si固体核磁気共鳴装置から炭酸化前後での生成物の変化の確認を行った。 圧縮強度試験の結果から、高炉スラグおよびケイ酸ナトリウムを用いた試験体はは促進炭酸化により強度が低下しており、フライアッシュにおいては促進炭酸化で強度が増加することを確認し、C-A-S-H構造の変化による圧縮強度の低下と,「Naを含む炭酸塩の生成による細孔構造の緻密化」が圧縮強度の増加の要因となった可能性が推察された。 また、XRDの結果から炭酸化によってNaを含む炭酸塩の生成が確認されており、圧縮強度の増加に影響を与える可能性が考えられる。29Si MAS NMR の結果からは、高炉スラグおよびケイ酸ナトリウムを用いた試験体において、 炭酸化によるC-A-S-H構造の変化が確認されており、圧縮強度の結果との関係性が確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのXRD結果および圧縮挙動の結果から、Na由来の炭酸化物質が空隙構造および圧縮強度に影響を与える可能性が確認されており、次のステップとして本研究のメイン目的であるNaの挙動に関する観測に進む。23Na 3QMAS NMRを用いた(C, N)-A-S-HでのNaの結合メカニズムの解明と炭酸化挙動への影響および物理的特性に対するデータベースの構築に貢献できると考えられる。また、Na由来の炭酸化物質は、溶解度が高い物質であり、現在使われている一般的な測定方法および試験体の処理方法では、観測の前段階で溶出されてしまい、正しい評価ができない可能性も確認されている。そこで、アルカリ活性セメントの、正しい物性評価ができる処理方法に対する考察および実験を行う予定である。
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