2019 Fiscal Year Research-status Report
オンライン仮動的実験に基づくRC造有開口耐震壁の数値解析モデルの確立
Project/Area Number |
19K15140
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
櫻井 真人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (60710184)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RC造耐震壁 / 有開口耐震壁 / 数値解析モデル / オンライン仮動的実験 / FEM解析 / 曲げ降伏型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,地震時において複雑な破壊モードを示し,構造性能の把握が困難とされているドアや窓などの開口を有する鉄筋コンクリート(RC)造耐震壁部材(以下,有開口耐震壁)に対し,申請者が提案しているせん断強度の定量的構造性能評価手法に基づき,コンピュータ数値解析で適用可能な復元力特性モデルを確立することで,現行の性能評価型設計法改正に資する成果を創出し,建築構造設計者の設計自由度の向上に寄与することを目的としている。具体的検討では,オンライン仮動的実験手法による構造実験やFEM解析を中心とした検証によって,申請者がこれまでに提案した有開口耐震壁の部材復元力特性モデルのさらなる拡張を推し進め,有開口耐震壁の数値解析モデルとして市販の構造解析ソフトウェアに採用される柱梁モデルと同等の実用レベルにまで再現精度の向上を図るものである。 当該年度については,FEM解析により,最大耐力に至るまでの曲げ降伏型有開口耐震壁の解析結果と提案モデルの対応性を検証し,提案モデルが曲げ降伏型有開口耐震壁にも適用可能かを確認した。具体的には,開口位置を解析変数とした曲げ降伏型有開口耐震壁のパラメトリック解析を実施した。 その結果,現行提案モデルでは地震時に曲げ降伏型挙動がかなり卓越しうるせん断スパン比2.0以上の耐震壁に対しては最大耐力時付近の挙動における再現精度が低下することが明らかとなった。この理由としては,曲げ降伏時の耐震壁脚部の応力性状について提案モデルと差異がみられることが挙げられる。また当該現象はせん断挙動が卓越する耐震壁では,せん断変形成分が卓越することから発現しづらいこともわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は申請者が提案している有開口耐震壁の数値解析モデルのさらなる適用性の検討を検討した。その結果,現行提案ではせん断スパン比の大きいいわゆる曲げ降伏先行型耐震壁に対しては最大耐力時付近の挙動における再現精度が低下することが明らかとなり,提案モデルの修正の必要が生じている。現在この追加検討のためFEMを主体とした検討を続けており,これが終わり次第実験計画の策定を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度についてはオンライン仮動的実験実施に向けた予備検討として,有限要素法(FEM)による動的解析と1質点系数値解析モデルによる振動解析を行い,開口位置や個数が変化した場合の振動性状の把握ならびに試験体の詳細設計を中心に推める。特に,実験で使用する試験体の詳細設計においては使用する試験機のキャパシティーとの兼ね合いから,適切な地震波の入力レベルと試験体の縮尺および寸法,さらには効果的な実験変数の組み合わせを模索する必要がある。 最終的には時刻歴応答解析における提案数値解析モデルの妥当性を実験的に明らかにすることを目的として,オンライン仮動的実験手法による構造実験を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題では,オンライン仮動的実験に係る試験体制作に費用の大部分を要する。現在の各年ごとの分配額では,費用面で試験体制作が困難であった。このことから,当該年度の配分額を次年度のものと合算して試験体発注を行うことを想定している。
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