2020 Fiscal Year Research-status Report
混入繊維により形成される導電経路を利用したFRCCの欠陥評価に関する基礎的研究
Project/Area Number |
19K15143
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
浅野 浩平 都城工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (90735119)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 繊維補強 / ひび割れ幅 / 電気抵抗率 / 導電経路 / 繊維配向性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鋼繊維補強セメント系複合材料(SFRCC)に導電経路が形成される繊維混入率を、数値計算によるシミュレーションおよび実験の両方から検討し算出すると共に、繊維混入率とひび割れ幅を主な実験因子とした電気抵抗を測定し、健全時との比較により繊維混入率-ひび割れ幅-電気抵抗率関係の構築を行う。これにより構造物の劣化度診断に応用することを最終的な目的としている。 令和2年度については、ひび割れ幅と電気抵抗値の関係を把握するため、電流を印加させながら2種の繊維を混入したSFRCCの一軸引張試験を実施した。実験パラメータは体積繊維混入率と繊維の寸法である。体積繊維混入率を5~6%に固定し、太径繊維と細径繊維の割合を変化させて試験体を作製した。その結果、ひび割れ幅の拡大に伴いながら、電気抵抗値は増大することが確認できた。また、体積繊維混入率が大きいほど、電気抵抗値の増加率は小さくなる傾向が強く見られた。体積繊維混入率に関わらず、混入する繊維の長さに依存するが、概ねひび割れ幅が3mmに達すると急激に電気抵抗値が上昇することがわかった。太径繊維の割合が大きいほど、初期時の電気抵抗値は小さくなる傾向があり、ひび割れ幅に対する電気抵抗値の変化は相対的に大きくなることがわかった。 昨年度導入した導電経路シミュレーションソフトウェアにより解析を行ったところ、体積繊維混入率が大きいほど、試験体内部の繊維の分散は一様になり、ひび割れ位置に関わらず電気抵抗値のばらつきは小さくなるが、ひび割れ幅に対する電気抵抗値の応答は鈍感となることがわかった。さらに、解析上では繊維配向性を試験体の軸直交方向に向けることで応答が改善されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ひび割れ幅に対する電気抵抗値の応答を改善するため、調合や打設方向といった検討をしていたが、新型コロナウイルス対応のため、研究室の活動が停止し、大半の実験は実施することが出来なくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
体積繊維混入率が大きいほど、試験体内部の繊維の分散は一様になり、ひび割れ位置に関わらず電気抵抗値のばらつきは小さい。しかしながら、ひび割れ幅に対する電気抵抗値の応答は鈍感となる。これらを改善するために、シミュレーションについても再度検討しながら繊維配向性や繊維の寸法を変更し再実験を行う。
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