2020 Fiscal Year Research-status Report
Effects of a great change in aircraft noise exposure on community reaction and public health in Ho Chi Minh City metropolitan area
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19K15150
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
NGUYEN THULAN 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 助教 (00801169)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音環境 / 段階的な変化 / 住民反応 / 騒音健康の影響 / 航空機騒音 / 空港周辺 / 睡眠妨害 / わずらわしさ |
Outline of Annual Research Achievements |
ベトナムを初めとする発展途上国では空港の拡張または新設が進められている。Brownらは様々な介入により騒音曝露量が段階的に変化するstep change研究をレビューし、このよう状況下では、音環境が急激に変化し、過剰反応(excess response)を引き起こすことがあると報告している。Step change研究の成果は未だ十分に蓄積されておらず、発展途上国では長期的に住民反応がどのように変化するかを調べた研究はない。この背景として、TSNでの2つの調査が2019年と2020年に実施された。2008年の調査とほぼ同じ地区を調査することにより、11年後の騒音に対する住民反応の追跡調査として行われた。実施された調査の結果を比較することで、以下の問いを明らかにすることを目的とする:(1)航空機騒音の曝露量変化による住民の反応の経年変化があるか。(2)非音響要因は曝露量-反応関係にどの程度影響するか。(3)WHOガイドラインは発展途上国に適用できるか。 研究結果: ①HCMでのの調査の結果に基づいて騒音のアノイアンスの変化を比較した。 2019年のアノイアンスは、2008年と比較して大幅に減少した。この結果は、航空機騒音のアノイアンスが経年的に増加しているヨーロッパでの最近の結果と一致しない。 ②HCMの住民のアノイアンスの減少は、職場へのアクセスの利便性に対する満足度の向上に関連していることがわかる。もう一つの原因は、エアコンを備えた世帯が増えたことである。住民の好意的な航空輸送に対する態度も、HCM市の航空機騒音のアノイアンスを減少させることに貢献したと考えられる。 ③ベトナムの空港周辺の住宅地で航空機騒音のアノイアンスを低減させるためには、騒音曝露量を低減させるだけでなく、居住環境の質も改善するべきである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでタンソンニャット空港周辺の調査を完了して、結果をまとめ、国内外の学会と学術誌に報告を進めて参ります。 ロンタン空港周辺でのコーホート調査は2020年実施する予定ですが、コロナの影響で、2021年6月から実施する予定に変更しました。 現在調査を準備しております。これまで調査してきた迷惑感(ア ノイアンス)や不眠に加え、血圧やIHD(虚血性心疾患)等の健康影響指標について調査する。面接法による自己申告での健康影響評価にはTotal Health Index (THI)を用いる予定であり、 ベトナム語版の調査票を作成しました。 対象地区選択に関して、ロンタン空港は未だ開港前であるため、ベトナム民間航空局(CAAV) から提供された空港計画図により飛行経路下にある住宅地を選定しました。現在日本からベトナムに移動することがまだできませんので、以前の現地視察を実施した結果に基づいて、調査予定と調査方法についてホーチミン市の協力大学と打ち合わせを行い、ご協力を受け、現地調査を実施します。ロンタン空港の飛行機の離陸側に5地区、到着側に5地区、コントロール地区として2地区で住民の反応を取得する予 定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年6月からロンタン空港周辺の12地区の計1,200軒を対象に1住戸あたり1名を選定して、面接法によって回答者の健康状態を聞き取り、血圧、聴力、BMIの測定を行う。また、前述のクリニッ クから、入院と健康検診のデータベースを提供してもらう予定である。 ロンタン空港周辺での社会調査と同時に、同じ回答者を対象に、社会調査および騒音実測調査、 ノイズマップを描画するための飛行経路データの収集を実施する。 さらに、血圧、聴力、およびBMIの測定も行う予定であ る。また、より詳細なデータの収集を目的に、各地域の自治体が管理しているクリニックを 訪問し、データの提供を依頼する。また、地域住民の血液や尿の検査結果が入手できるか等も併せて検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ影響のために旅行や対面の面接ができない状況で、ロンタイン空港での調査実施は2020円から2021年に延長させていただく依頼致しました。更新した予定にしたがって、2020年の調査の料金は2021年に使用する予定があります。
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