2019 Fiscal Year Research-status Report
散水・乾燥環境下における難燃処理木材の薬剤溶脱と防火性能低下メカニズムの解明
Project/Area Number |
19K15153
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
西尾 悠平 東京理科大学, 理工学部建築学科, 助教 (20793334)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 難燃処理木材 / 薬剤溶脱 |
Outline of Annual Research Achievements |
難燃処理木材を外装材などの降雨環境下で使用する場合、薬剤の溶脱にともなう防火性能の低下が懸念される。しかしながら、降雨などの環境条件が薬剤溶脱および防火性能低下に与える影響に関しては、まだあまり検討されておらず、降雨に伴う経年劣化が難燃処理木材の防火性能の低下にどの程度影響を与えるかは明らかとされていない。 そこで、本研究では、難燃処理木材の吸水・脱水が薬剤溶脱に与える影響を明らかにするとともに、経年劣化を考慮した防火性能を解明することを目的とする。木材における難燃薬剤の固着箇所及び溶脱箇所の測定手法を確立した上で、吸水・脱水が難燃処理木材の薬剤溶脱に与える影響の検討を行い、難燃処理木材中の薬剤残存量・分布と防火性能の関係性を明らかとする。 本年度は、耐候操作後の難燃処理木材中の薬剤分布の同定を可能とするために、難燃薬剤の固着箇所及び溶脱箇所を測定する手法の検討を実施した。難燃薬剤の固着箇所及び溶脱箇所の測定手法として、中性子イメージング技術及び蛍光X線分析(XRF)の元素マッピングを利用して耐候操作後に測定を行い、溶脱が著しいと想定される表層部と木材内部との薬剤残存量の差を比較検討した。また、散水量・散水時間・乾燥温度・乾燥時間・繰り返しサイクル数をパラメータとした散水・乾燥の繰り返し試験を実施し、吸水・脱水が難燃処理木材の薬剤溶脱に与える影響について検討を行った。 薬剤蛍光X線分析(XRF)による断面観察により、難燃処理木材の耐候操作による薬剤分布の変化を精度よく捉えられる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「難燃薬剤の固着箇所及び溶脱箇所の測定手法」について、当初予定していた中性子イメージング測定及び蛍光X線分析(XRF)の元素マッピングを用い、難燃処理木材の断面観察を試行的に実施することが出来た。実施結果からはXRFの元素マッピングについて、いくつかの課題が見えてきており、次年度に検討を行う。 「散水・乾燥の繰り返し試験」については、散水量・散水時間・乾燥温度・乾燥時間・繰り返しサイクル数をパラメータとした散水・乾燥の繰り返し試験が進行中であり、おおむね予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、当初の計画通り、繰り返しサイクル試験後に防火性能試験(ISO 5660-1 コーンカロリーメータ試験及びJIS A 1310 建築ファサードの燃えひろがり試験)を実施し、薬剤溶脱後の難燃処理木材の発熱性状及び燃え拡がり性状を比較し、防火性能評価方法の検討を行う。また、薬剤分布の測定手法に関して、XRFの元素マッピングを中心に更なる検討を行う。
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Causes of Carryover |
散水装置の消耗品・メンテナンス費として計上していたが、修理等の必要が生じなかったため、不要となった。次年度の散水装置の消耗品・メンテナンス費に充てる予定である。
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