2019 Fiscal Year Research-status Report
駅前市街地への内向型スプロールに対応する居住環境マネジメントと地域ガバナンス
Project/Area Number |
19K15161
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
中野 卓 国立研究開発法人建築研究所, 住宅・都市研究グループ, 研究員 (30837472)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 住環境 / 集合住宅 / 用途混合 / マネジメント / 用途別建築規制 / 公共交通志向型開発(TOD) |
Outline of Annual Research Achievements |
駅前市街地は商業系用途地域に指定されることが多く、住環境に配慮した地域づくりは必ずしも重視されない。しかし、近年は駅前マンション開発に代表されるように、エリア的な住環境整備を伴わないまま個別に集合住宅の立地(=内向型スプロール)が進んでいる。本研究では、都市計画学・住宅学で検討されてきた住環境マネジメントの考え方を援用し、こうした課題への予防的解法の構築を目指す。具体的には、商業系用途地域を指定した全国の駅前市街地を対象に、住環境改善の手法・実践知を体系化することを目的とする。 研究初年度は、具体的に2点の研究を行った。 1)内向型スプロールの現状把握および特徴の整理のため、全国の駅前市街地における近年の人口増減の実態を把握する地理情報データベースを構築した。これに基づき、特に人口増加の顕著な首都圏、近畿圏を対象に、2008年、2016年の住宅地図データから集合住宅の全棟リストを作成し、その立地的・形態的特徴について詳細な分析を行った。分析の結果、①指定容積率300~500%の商業系用途地域内で集合住宅立地が顕著であること、②住宅地図上から取得される建築面積からの簡易的推計ながら、対象集合住宅の約半数が200㎡未満の敷地に立地すると推定されることの2点が把握された。これら結果から、地区によっては十分な共用部面積や敷地内空地を確保できない集合住宅の立地により、住商混合化が進展している可能性があると示唆された。 2)住宅と商業・業務等のバランスを考慮した市街地形成に資する手法の1つとして、商業系用途地域において地区レベルで適用可能な住宅用途建築規制の整理を行った。規制誘導が法的に担保される地区計画、建築協定、特別用途地区を対象に全国434地区での運用事例を整理した結果、5つの類型の住宅立地・建築コントロール手法にまとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画通り進捗し、全国の駅前市街地における近年の人口増減の実態を把握するデータベース構築が完了した。これに基づく詳細分析から、駅前市街地における住商混合化の課題も把握された。 ただし、今年度末に予定していたヒアリング等の事例調査については、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえて延期した。今後の状況によっては、2年目の研究計画を再検討する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究成果を踏まえ、人口増加の特に顕著な駅前市街地を対象に、住環境改善に関する取り組み状況の調査を行う。具体的には、各自治体の中心市街地活性化基本計画や立地適正化計画、任意の計画等を含む、駅前市街地の居住環境整備に関する計画・構想・施策の整理を行うと共に、その取組み状況、推進主体、方策に係る実態の整理を行う。対象事例とした自治体・地区の関係者にヒアリング調査を行うことで、より詳細な実態把握を進めることとする。
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Causes of Carryover |
国内にて現地担当者へのヒアリングや現地視察等を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、訪問先においても感染対策(会議等の自粛)を行っていることもあり、都内・遠隔地出張を取りやめ、令和2年度以降に実施することとした。
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