2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Urban Planning Methodology to Conserve Historic Commercial Style in Hanoi's Ancient Quarter, Vietnam
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19K15164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柏原 沙織 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任助教 (00636384)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歴史的都市景観 / 商業地区 / 変化のマネジメント |
Outline of Annual Research Achievements |
現地の研究協力者とのWeb会議を通じて、前年度の景観・業種変容の評価手法を精緻化し、ハノイ旧市街ハンブオム通りの132軒の店舗に適用して分析・考察を進めた。2015ー2020年の調査から、建物ファサード・業種について、変化の強度・速度を考慮した評価手法を開発した。変化強度をより細やかに捉えるため、ファサードで異なる変化が重なった場合はスコアを加算、業種変容はよりファサードへのインパクトが大きい観光系など新業種の加点を大きくした。その結果ファサードは0-8点、業種は0-7点の値を取った。観光化の影響について、各店舗の看板とSNS等から対象顧客層を分類した。業種とファサードの変化の関係はJMP Pro 16により分散分析、フィッシャーの正確確率検定で検定したほか、対象顧客層の変化の違いがファサードに与える影響も同様に検定した他、スコアをArcGISを用いてプロットした。また現行規制の欠陥について、現地研究協力者から元地区政府職員への簡易ヒアリング結果を得た。 業種とファサードの変化のスコアには弱い正の相関が見られた。また、新旧の観光業種への転換でよりファサードの変化が大きかった。こうした業種・ファサードの変化と対象顧客層の観光化の傾向は通りの中で分布に偏りが見られ、特に観光化された隣接通りとの交差点付近でファサード・業種の変化量が大きかった。以上を踏まえ、現行の保全規制の改善案として、重点的に変化を管理するスポットを指定すること、旧市街のデザイン評議会を設置してデザインコントロールの運用を改善させることを提案した。 以上の分析の途中段階について、7月に神奈川大学アジア研究センターで講演を行ったほか、論文を執筆して英文校正を終え、英文誌に投稿した。 また、植民地期の商業者名簿の3年度分をArcGISを用いてプロットし、視覚的に同業者集積の状況を明らかにし、国際学会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初進める予定だった道路構造の類型化や街区・建築単位での調査は、コロナ禍により現地調査ができない中で精査が難しいことから進捗が止まっている。一方で、過年度に得られたデータから、当初予定していなかった研究を進めることができた。 1)変化を可視化する評価手法(スコア化)の開発とケース通りでの適用、観光化の影響の可視化を行った。またこの評価手法を適用する中で、当初仮説として持っていた「街区辺が同業者集積に影響している」について、変化の程度も街区辺単位で起こっている可能性が見られ、仮説を異なる角度から一部確認できた。 2)植民地期の複数年の商業者リストをもとに、職業分布の実態を明らかにすることができた。植民地期に造成された道路と職業分布の関連、関連業種間の立地の関係について分析を開始しており、量的な資料に基づく道路構成と職業分布の分析方法を検討することで、現在の状況分析への還元が期待できる。 以上より、当初計画に鑑みて「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響が見通せない中、2022年度は最終年度となることから、現地調査は時機を見て可能な限り実施するものとする一方、現地調査が不要な研究内容を推進することとする。具体的には、入手済みの地図データから通りの類型化を進め、街区内の密度についても現状の地図データから分析し、今後渡航が可能になった段階での調査研究の基礎とする。また、今後の都市計画制度への提案内容の検討に向け、昨年度に知己を得たハノイ旧市街管理委員会の担当者にオンラインヒアリングを依頼し、現在のハノイ旧市街の都市計画規制の状況、運用体制と建設活動への介入可能性についての情報を得る。
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Causes of Carryover |
当初計画していた海外現地調査ができず、計上していた旅費及び通訳者・調査協力コーディネーターへの謝金が余ったため。2022年度に時機を見て現地調査を実施する。
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Research Products
(1 results)