2019 Fiscal Year Research-status Report
日独の建築規制比較による景観価値を適正評価した公共的価値向上のための方策
Project/Area Number |
19K15167
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
沼田 麻美子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (70724623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 景観規制 / ドイツ / 公共的価値 / 歩行者空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
資産評価の指標のひとつである地価は、景観規制や建築規制に対して私的財産の評価が低く、人口減少を見据えて今から私的財産に影響した減価部分を公共的価値の向上のため補填していく仕組みをつくる必要性がある。一方、ドイツでは資産価値を高めるための景観規制を住民が理解し受け入れており、その仕組みは日本の今後人口減少が進む都市部の住宅密集地において公共的価値を向上させる効果があると考えられる。 そこで本研究は、その仕組みを体系的に探るため、法制度、助成金、自治体対応を含め体系的に整理、日独を比較し、アンケート調査で建築規制に対する認識を分析し、助成金相当を推計し、そこから、私的財産に影響した減価部分を補填する仕組みを検証することで、公共的価値の向上のための方策を明らかにすることを目的とする。 バイエルン州に位置するミュンヘンやニュルンベルクやローテンブルクはいずれもバイエルン州の条例で定められており、法的拘束力を持つBプランから景観や建築制限に対する法制度を書籍や自治体のホームページや現地で入手してある資料をもとに整理した。 そこから、観光都市として人気のあるローテンブルクでも自動車交通と生活空間のバランスが現状の大きな課題であり、建築規制に加え、道路舗装や歩行者空間が資産価値に与える影響が大きいことがわかった。そこで、街中から自動車交通の排除をすすめるドイツ全体を把握するため、資料や文献調査を行った。歩行者空間や自転車道路整備を積極的に進める都市が増えていることが確認でき、都市と歩行者空間の関係についても要素を追加した。 自転車専用道路の整備がドイツ内で最も進められているノルトラインヴェストファーレン州に位置するミュンスターと環境都市として注目されているバーデン=ヴュルテンベルク州に位置するフライブルクにヒアリング調査を行った。歩行者空間、緑地、住宅地の関係など、分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本国内でのアンケート調査およびドイツ国内でのヒアリング調査をするため準備をすすめていたが、新型コロナウィルスの影響で調査時期を逃してしまい、研究方法を多少変更しながら進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツの法制度や資産価値のデータなど入手できる範囲の情報を整理し、ドイツで現地調査ができる時がきたら対応できるように準備を進めていく。 また、日本国内の状況も可能な限りホームページや文献等から整理を進めていく。
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Causes of Carryover |
海外調査やアンケート調査等、実施できなかったことで時期を遅らせているため、調査が可能になり次第予定額を使用していく予定である。
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