2020 Fiscal Year Research-status Report
日独の建築規制比較による景観価値を適正評価した公共的価値向上のための方策
Project/Area Number |
19K15167
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
沼田 麻美子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 研究員 (70724623)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 景観規制 / ドイツ / 公共的価値 / 歩行者空間 / 住環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は日本では人口減少やコロナ禍で空間的価値が見直され、緑で憩いを求めたり、広場や公園等が再確認される年であった。そこで、緑化や生産緑地が残る練馬区を対象に緑の価値について研究分析を行い、緑化による不動産価値を考える試みをした。 また、住宅街における不整地を抽出し、その周辺住宅に与える研究を論文にまとめた。このように、日本では住環境に着目し、不動産価値を再整理した。 一方、ドイツではコロナ禍でドイツの現地視察はできなかったため、2019年の現地調査やデータ分析による地域の特性を把握することに努めた。まず、2019年に環境都市として先進都市でもあるフライブルクのヴォーヴァンを訪れた調査をもとに、フライブルクの施策や取り組みの情報収集をした。どのように土地利用が行われているのか、土地のコントロールの仕組みと不動産価値について、融資する銀行が関係していることがわかった。また、建物のコントロールについては、自治体は建物単体で建築許可を出すのではなく、エリアとして許可権が与えられている担当課が存在し、土地利用の規制から建てられる用途のチェック、周辺の建物との調和、市民からの要望、交通の影響など、多岐にわたる視点から審査する体制が整い、さらに審査で通過したものではないと建築許可が下りないという絶対的な規制ができる権限が自治体にもたらされていることがヒアリング調査からわかった。 また、ドイツで経済的豊かな都市や人口増加により住宅地不足が続くバイエルン州に着目し、産業分布から住環境について整理を行った。ここから人口の流れが増加すること、不動産価値が急騰している状況をまとめている。 2019年のドイツ現地調査と自治体ホームページや統計情報、書籍から得た情報をもとに景観価値向上についてまとめていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
統計データや資料収集、文献調査から地域性を読み取れている点で順調に進んでいるといえる。一方で、コロナ禍でドイツに現地調査ができない点では予定より遅れており、調査方法を模索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
公共的価値を考えるために、住環境のための産業、自然環境、公共空間に範囲を広げているが、データ中心になってしまうので、コロナ禍が落ち着いたらドイツに現地調査に行く、または現地とコンタクトを取りヒアリング調査を実施して、分析を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
旅費と通訳代を計上していたが、ドイツに現地調査ができないため、旅費と謝金がそのまま残った状態となっている。
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